労働基準法物語 > 第91条
労働基準法物語は、具体的な労働トラブルを労働基準法の条文ごとにご紹介した物語です。
労働トラブルが発生すると、どこからともなく現れる『おせっかい親父』。
そんな『おせっかい親父』が、労働トラブルを解決していきます。
こうした場面に直面したときの『あるべき対応』と『今後の対策』もあわせて紹介しています。
就業規則作成・見直し・運用のためにも、参考になります。
労働基準監督署による是正勧告・指導票にも対応いたします。
逐次追加していきますので、ブログのようにお読みになっていただければ幸いです。
(労働基準法物語は、以前ブログにて展開していたものに、加筆・訂正したものです。)
無断転載・転用を禁止します。
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労働基準法第91条 (平成23年11月29日登録)
(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
物語
(制裁規定の制限)
第72話
チコちゃん : 会社でいじめにあっています。 助けてください。
おせっかい親父 : どうしたかな?
チコちゃん : 私、営業をやってるんですけど、大切な示達を、私だけ受けられないんです。 それで、営業方針に反した、ということで、減給処分されて… 労働基準法91条で、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない、と書いているじゃないですか。 だけど、半年前のお給料より、2割も減ってるんですよ。 労働基準法違反じゃないですか。 同僚からも、冷たい視線を受けています。 …ワーン…
泣き叫ぶチコちゃん。 とにかく、社長に事情を確認することに。
社長 :いや。 それは、ちょっと違います。 チコは、普段から遅刻の多い娘でして。 会社は9時始まりで、毎日9時から10分間朝礼を開いて、その日の示達をしています。 なので、遅刻は厳禁となっています。 就業規則にも、遅刻3回で基本給の30分の1を差し引く、としています。前賃金支払期に12回遅刻しましたので、本来は30分の4を差し引くところですが、労働基準法91条によって、上限の10分の1を差し引きました。 残り30分の1は翌月へ繰り越しました。 朝礼後は、みんなすぐ営業に出掛けます。 上司が、会社貸与のチコの携帯に電話を入れるんですが、どうも、忘れることが多く、示達事項の伝達ができないことも多いんですよ。 チコ自身の携帯に電話をしても、着信拒否に設定しているようで、これもダメです。 チコからの電話もありません。 半年前の給料より2割減った、というのは、歩合給が減った結果ですよ。
おせっかい親父 : なるほど。 それでは、労基法91条違反とはなりませんな。 同僚から、村八分にされてる、という訴えもありましたが。
社長 : みんな、忙しいですから。 でも、決して、チコを村八分にしているわけではありませんよ。 被害妄想でしょう。 この点は、私からチコに言い聞かせておきます。
結果をチコに話したところ、
チコちゃん : もう、いいです。 労働基準監督署に訴えます。 会社は辞めます。 理由は、いじめです。 労働局に相談したら、あっせん申請ができる、と言われましたので、精神的損害賠償として、3か月分のお給料相当額の支払を求めて、あっせん申請します。
ってなわけで、労働基準監督署の判断を仰ぐとともに、労働局にあっせん申請することに。
おせっかい親父、ちょっと甘やかせ過ぎたかな…?!
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あるべき対応
最近、とてもこうしたご相談が増えています。 労使双方から、ご相談があります。 また、大概が、これプラス『うつ』が上乗せされています。 いわゆる『現代型うつ』の典型例です。 ちょっとした注意・叱責が、それが本来自身に問題があることに気づくべきところ、過剰な自己保全本能からバリケードを築き、結果、いじめ・嫌がらせ、パワハラに感じられてしまい、トラブルとなってしまう。 ここまでくると病的ともいえますが、とても増えているケースです。 生まれてこの方、甘やかされて育てられてきたため、他人からの注意・叱責に対する抵抗力が全くまたはほとんどない、というのも、大きな原因のひとつです。 従来型うつは、相手方からの注意・叱責の原因が、自分にあつのに気づき、ただその結果、過剰に自己を責めることになり、うつになり、うちに閉じこもる、というものでした。 ところが、現代型うつは、相手方の注意・叱責の原因が、自分にあるのに気づかず、あるいはシャットアウトしてしまい、その結果、過剰に相手方を責めることになり、うつになる。 ところが、必ずしも、うちに閉じこもる、というわけではなく、仕事から離れて、趣味等の自分の時間になると、人格が変わってしまったように明るくなる、というものです。
ただし、ここで病気だから解雇、なんてことをすると、更にトラブルが拡大します。 といって、放置すると、上記例のように、『兵糧攻めにあった。 解雇よりもひどい仕打ちだ。 切るならさっさと切ってくれ。 一枚一枚、皮を剥ぎ取るようなことはやめてくれ。』といってこれまたトラブル拡大となります。 こうなると、労使当事者間では、最早解決は困難となります。 何を言っても、無駄です。 耳に栓ををしてしまっているからです。 なんともやっかいな問題です。
ここまでくると、第三者の介入による解決が有効ということになるでしょう。
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今後の対策
最良の対策は、なんといっても予防・未然防止策の策定・実施です。 事後的には、第三者介入による解決でしょう。
まずは、採用時の見極め。 次いで、2週間以内の法律上の試用期間中の見極め。 次いで、会社所定の試用期間中の見極め。 会社からの適切な教育・指導とその記録の保存。
また、日ごろの、労使間および従業員どうしのコミュニケーションがとても重要です。 これなしには、良好な労使関係・従業員どうしの連帯観は築けません。
トラブルとなったら、労働局のあっせん制度等の第三者介入による解決を考えましょう。 こうすることによって、両者が納得できる解決を図ることが期待できます。
また、制裁規定に限らず、賃金控除時のツボですが、控除額の算定で、上記例のように、月給の30分の1というように分母を大きくすれば、額は低くなり、逆に出勤日ベースとして22分の1というように分母を小さくすると、額が高くなるので、従業員の反発が高まります。 これも、無用なトラブルの要因となります。
逆に加算時ですが、ま逆となります。 これも、無用なトラブルの要因となります。
いずれも、これを原因としたトラブル相談として、よく舞い込みます。
慎重な考慮が必要となります。 会社の戦略(従業員に対して厳しく、逆にやさしく、はたまたその他)に応じた戦術の策定(終始一貫か、懐柔策か、はたまたその他)、ということになります。
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