労働基準法物語 > 第82条・第83条・第84条
労働基準法物語は、具体的な労働トラブルを労働基準法の条文ごとにご紹介した物語です。
労働トラブルが発生すると、どこからともなく現れる『おせっかい親父』。
そんな『おせっかい親父』が、労働トラブルを解決していきます。
こうした場面に直面したときの『あるべき対応』と『今後の対策』もあわせて紹介しています。
就業規則作成・見直し・運用のためにも、参考になります。
労働基準監督署による是正勧告・指導票にも対応いたします。
逐次追加していきますので、ブログのようにお読みになっていただければ幸いです。
(労働基準法物語は、以前ブログにて展開していたものに、加筆・訂正したものです。)
無断転載・転用を禁止します。
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労働基準法第82条・第83条・第84条 (平成23年9月16日登録)
(分割補償)
第八十二条 使用者は、支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を得た場合においては、第七十七条又は第七十九条の規定による補償に替え、平均賃金に別表第三に定める日数を乗じて得た金額を、六年にわたり毎年補償することができる。
(平一〇法一一二・一部改正)
(補償を受ける権利)
第八十三条 補償を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。
(2) 補償を受ける権利は、これを譲渡し、又は差し押えてはならない。
(他の法律との関係)
第八十四条 この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。
(2) 使用者は、この法律による補償を行つた場合においては、同一の事由については、その価額の限度において民法による損害賠償の責を免れる。
(審査及び仲裁)
第八十五条 業務上の負傷、疾病又は死亡の認定、療養の方法、補償金額の決定その他補償の実施に関して異議のある者は、行政官庁に対して、審査又は事件の仲裁を申し立てることができる。
(2) 行政官庁は、必要があると認める場合においては、職権で審査又は事件の仲裁をすることができる。
(3) 第一項の規定により審査若しくは仲裁の申立てがあつた事件又は前項の規定により行政官庁が審査若しくは仲裁を開始した事件について民事訴訟が提起されたときは、行政官庁は、当該事件については、審査又は仲裁をしない。
(4) 行政官庁は、審査又は仲裁のために必要であると認める場合においては、医師に診断又は検案をさせることができる。
(5) 第一項の規定による審査又は仲裁の申立て及び第二項の規定による審査又は仲裁の開始は、時効の中断に関しては、これを裁判上の請求とみなす。
(昭三一法一二六・昭三七法一六一・一部改正)
第八十六条 前条の規定による審査及び仲裁の結果に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官の審査又は仲裁を申し立てることができる。
(2) 前条第三項の規定は、前項の規定により審査又は仲裁の申立てがあつた場合に、これを準用する。
(請負事業に関する例外)
第八十七条 厚生労働省令で定める事業が数次の請負によつて行われる場合においては、災害補償については、その元請負人を使用者とみなす。
(2) 前項の場合、元請負人が書面による契約で下請負人に補償を引き受けさせた場合においては、その下請負人もまた使用者とする。但し、二以上の下請負人に、同一の事業について重複して補償を引き受けさせてはならない。
(3) 前項の場合、元請負人が補償の請求を受けた場合においては、補償を引き受けた下請負人に対して、まず催告すべきことを請求することができる。ただし、その下請負人が破産手続開始の決定を受け、又は行方が知れない場合においては、この限りでない。
(補償に関する細目)
第八十八条 この章に定めるものの外、補償に関する細目は、厚生労働省令で定める。
物語
(分割補償・補償を受ける権利・他の法律との関係)
第64話
塗装工の親方 : マサオ。 ペンキを取ってくれ。
塗装工見習いのマサオ : はい。 親方。 ギャ〜 バキーンっ!!
塗装工の親方 : おい、大丈夫かあ?
塗装工見習いのマサオ : ダメみたいです…
ペンキを取ろうとして、足場を踏み外したマサオ。
足を骨折したようです。
親方は、すぐに病院に連れて行きました。
病院 : ひざが粉砕骨折しています。 重症です。
入院して1ヶ月。
患部が感染を引き起こし骨髄炎を発症してしまいました。
後遺症が残るかもしれません。
塗装工の親方 : 治療費と給料は心配するな。 治るまで補償する。
おせっかい親父 : 労災を請求しましょう。
塗装工の親方 : てやんでい。 余計なお世話だ。 わしが治るまで補償する、って言ってんでいっ!!
おせっかい親父 : 慢性化した場合、相当長期の補償が必要になりますぞ。 親方の生活も破綻するかもしれない。 家族のことも、考えなければいけませんな。 労基法では障害補償は6年の分割補償(82条)となっておるが、労災を使えば、親方や親方の家族も助かりますし、マスオ君にも、手厚い補償ができますぞ(84条)。 仮に、親方が廃業しても、退職後も補償するは労基法(83条)も労災法も同じじゃが、労災なら、6年に限らず、ずっと補償されますぞ。
塗装工の親方 : …… 実は、マサオの親御さんから慰謝料を要求されている…
おせっかい親父 : それなら、なおさら、労災を請求しないと。 慰謝料は、労災からは出ませんぞ。 今回の事故は、安全配慮義務違反が認められそうですから、慰謝料を請求されたら、別途支払が必要になってきますぞ(民法415条)。 いずれにしても、補償の内容は、監督署に相談しましょう(85条・86条)。 『労災隠し』と言われない様に、死傷病報告(労働安全衛生法)の提出も忘れてはいけませんぞ。
ってなわけで、労災を請求することに。
おせっかい親父、わしの全財産を投げ打っても、補償に限界がありそうだから…
なお、マサオ君の骨髄炎は慢性化せず、快方に向かっているのは、何よりの幸いです。
マサオ君の親御さんからも、慰謝料の請求は凍結されています。
※セリフ中、『労災』とは、労災保険法による補償を指します。
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あるべき対応
労災保険は、自動車でいえば『自賠責』にあたるもので、農林水産業の一部を除き、すべての事業所が加入しなければなりません。
労基法によって、事業所に労災事故の補償義務がありますが、労災保険の利用も保障されています(『保険利益』といいます)。
速やかな労災申請等が求められます。
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今後の対策
まずは労災の予防が最重要課題ですが、万一労災が生じたときの対応法を頭に入れておくことが必要です。
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