労働基準法物語 > 第39条
労働基準法物語は、具体的な労働トラブルを労働基準法の条文ごとにご紹介した物語です。
労働トラブルが発生すると、どこからともなく現れる『おせっかい親父』。
そんな『おせっかい親父』が、労働トラブルを解決していきます。
こうした場面に直面したときの『あるべき対応』と『今後の対策』もあわせて紹介しています。
就業規則作成・見直し・運用のためにも、参考になります。
労働基準監督署による是正勧告・指導票にも対応いたします。
逐次追加していきますので、ブログのようにお読みになっていただければ幸いです。
(労働基準法物語は、以前ブログにて展開していたものに、加筆・訂正したものです。)
無断転載・転用を禁止します。
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労働基準法第39条 (平成23年8月8日登録)
(年次有給休暇)
第三十九条
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
2
使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。
六箇月経過日から起算した継続勤務年数
労働日
一年 一労働日
二年 二労働日
三年 四労働日
四年
六労働日
五年 八労働日
六年以上 十労働日
3
次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
一
一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
二
週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者
4
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
一
時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
二
時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)
三 その他厚生労働省令で定める事項
5
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
6
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
7
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法
(大正十一年法律第七十号)第九十九条第一項
に定める標準報酬日額に相当する金額又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。
8
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号
に規定する育児休業又は同条第二号
に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。
物語
(年次有給休暇)
第43話
パート : 今度の金曜日、お休みをいただきます。
店長 : 欠勤になるね。
パート : それは困ります。 有休にしてください。
店長 : パートに有休はないよ。
パート : 監督署に訴えますよ。
店長 : 勝手にしろっ! 本部からの指示だっ!
そんなわけで、パートさんは監督署に相談に行きました。
監督署(当日は、おせっかい親父が相談員として席についていました) : 働き始めて7ヶ月ですか… 1日7時間で、週5日ですね。 そうしますと、10日の有休が発生していますね。 請求して、もし給料が減らされていれば、また来てください。
そして、お給料日。 確認したところ、案の定、欠勤扱いとされていました。 そこで、また監督署にでかけました。
パートさんの申告により、店長は監督署に呼び出しを受けることに…
監督署 : 店長さん。 パートにも有休はあります。 なので、ちゃんと賃金は支払ってください。 それと、本部で作って、あなたのお店から監督署に出されている就業規則にも、ちゃんと有休を取った日は『通常の賃金を支払う』と書いてありますよ。
ってなわけで、本部にも知れるところとなり、厳しく指導されました。 しょぼつく店長でありました。
おせっかい親父、パートが監督署に相談に行ったときに、行ったという事を教えて欲しかった!!
監督署にいるときは、私も国家公務員ですので、守秘義務があるんですよ!! こういうときは、あなたから、あなたから先に相談しなさい!! カーッツ!!
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あるべき対応
『パートには年次有給休暇はない。』というような間違った常識をお持ちの方が意外と多いようです。 週1日、一日の労働時間が1時間のパートにも、年次有給休暇が発生します。
『そういう法律は知らなかった。』という言い訳は通用しません(法律の錯誤 対して、『そういう事実は知らなかった。』というときは、責任阻却されることもあります)。
『パートには年次有給休暇はない。』というのみでは違法とはなりませんが、実際に請求(時季指定権の行使)があって時季変更権の行使がなく、年次有給休暇を取得したのにかかわらず、年次有給休暇の賃金の支払をしなかったときは、違法となります。
時季変更権の行使は、きちんと変更日を特定しなければなりません。
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今後の対策
中小零細企業では、現実問題として、年休取得は容易ではありません。
そこで、いわゆる計画年休(本条6項)の活用が考えられます。
これにより、自由に取得できる日数は5日にすることができますので、とても有効な手段です。
労働者保護のための労働基準法ですが、うまく活用すれば、会社のためにもなる条文も、多数見受けられます。 こうしたものを、上手に活用したいものです。
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