労働基準法物語 > 第37条
労働基準法物語は、具体的な労働トラブルを労働基準法の条文ごとにご紹介した物語です。
労働トラブルが発生すると、どこからともなく現れる『おせっかい親父』。
そんな『おせっかい親父』が、労働トラブルを解決していきます。
こうした場面に直面したときの『あるべき対応』と『今後の対策』もあわせて紹介しています。
就業規則作成・見直し・運用のためにも、参考になります。
労働基準監督署による是正勧告・指導票にも対応いたします。
逐次追加していきますので、ブログのようにお読みになっていただければ幸いです。
(労働基準法物語は、以前ブログにて展開していたものに、加筆・訂正したものです。)
無断転載・転用を禁止します。
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労働基準法第37条 (平成23年8月3日登録)
第37条 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
2 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
3 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第39条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
4 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
5 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
物語
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第38話
さっちゃん : 親父さん。 残業代と休出手当が、きちんと支払われないんですけど…
おせっかい親父 : ほお。どういうことかね?
さっちゃん : うちは1日7時間労働で土日、祝祭日がお休みです。 私の時給は1000円です。 でも、最初の1時間の残業は割増がつかなくて1000円なんです。 その後は2割5分増しの1250円になります。 休出も日曜日だけが3割5分増しの1350円で、土曜と祝祭日に出ても、なんか、1000円だったり1250円だったり、決まっていません。
おせっかい親父 : ほお。 さっちゃんのとこの就業規則は、え〜と、これか… ちょっと待ってね。 今、確認するから… あと、タイムカードはあるかな?
さっちゃん : コピーを半年分持って来ました。 お金は弾みますから、よろしくお願いします。
おせっかい親父 : ふ〜む。 どうやら、計算は間違ってないようじゃな。
さっちゃん : なんですって?! 親父さん、会社から顧問料もらってるので、やっぱり会社の味方なんですね? もう、信じられないっ!
おせっかい親父 : さっちゃんの会社は、1週間が日曜日から始まって土曜日で終わる、となっとる。 日曜日が法定休日となってて、賃金規定によると日曜日だけが3割5分増。 月曜日から金曜日までは、1日の労働時間が7時間を超えて1時間は割増なしでその後は2割5分増。 1日毎に計算してダブルカウントしないで残った時間が1週40時間を超えたら2割5分増。 また、1日毎の端数処理は15分単位に切り上げ計算しているし、この点は労働者に有利になっちょる。
大企業の多くは、条件闘争等を通じて、所定労働時間を超えたら2割5分増、所定休日は3割5分増になってたりするんじゃが、さっちゃんのとこのような中小企業だと、なかなかそこまでは…
さっちゃん : わかりました。 もう、親父さんには頼りません。 労働基準監督署に申告してきます。
ってなわけで、さっちゃんからの信頼をすっかり失ってしまったおせっかい親父。 なお、監督署も結局同じでした。なので、今度は訴訟を起こすことにしたさっちゃんですが、残念ながら、難しいでしょう。
おせっかい親父、不当な扱いを是正するために、私、国会議員に立候補しますっ!!
選挙はまだ、少し先のようですが、現行議員よりもましかも?! でも、(女の子なのに?!)熱血漢のさっちゃん。 日本の将来のため、期待してますよ!!
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あるべき対応
もし、会社がこのような疑問を投げかけられたら、労働基準法・就業規則から正しく説明できるようにしておかなければなりません。 お金のことですから、結構こうした疑問をお持ちの方が多いです。 しかも、ご説明しても、なかなか納得していただけないことも、ままあります。 こうしたときは、労働基準監督署に確認するように、おっしゃられたらいかがでしょうか? 労働基準監督署は、労働者のミカタのような印象を受けますが、決してそうしたわけではなく、あくまで行政の平等原則の立場に立っていますから、心配は無用です。
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今後の対策
行政の相談現場でも、ご相談者の期待どおりのご返答ができない場合等、『労働基準監督署は、労働者のミカタじゃないのかっ!』と怒る方がいらっしゃいます。 行政憎しの風潮とあいまって、なかなか大変です。
とにかく、時間計算・賃金計算は、最新の注意が必要です。
なお、意識的な労働時間の過少的取扱・賃金計算は違法となりますが(労働基準法第24条)、計算間違いは違法とはなりません。 なぜならば、労働基準法は過失は問えず、故意犯のみを罰することができるからです。 もっとも、民事的には債務不履行・不法行為となりますから、正しい支払は必要です(完全履行義務)。
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