就業規則を自力作成

パート・アルバイトを含めて10名を雇用する、とある社長
ひょんなことから、就業規則というものを作成・届出しなくてはならない、ということを知りました。

コンピュータソフト開発が、会社の事業内容です。 社長は、理系出身のため、法律等とはこれまで無縁でした。 

そこで、事務を担当する社員、もともと文系でしたが事務系ソフト開発を担当する社員、システムエンジニア・営業を担当する社員に作成を任せることにしました。 
また、学生時代からの友人で社会保険労務士のおせっかい親父に、サポートをお願いすることにしました。
 



 

登場人物

 

一人身の社長です。 会社から脱サラされたのがきっかけで、独立しました。
 

社長の姪っ子です。 少々、気が強い女性です。 労働者に対しては、厳しくしなければならない、と考えています。 『モモちゃん』と呼ばれています。
 

社長の友人の息子です。 お調子者で気分屋です。 普段は、ポ〜としていますが、調子が出てくると、人一倍仕事がはかどります。  『タクヤ』と呼ばれています。

法律学科を出ており、とてもまじめです。 ただし、少し融通が利かないところがあります。 突然ブチ切れることもあります。 『カタキチ』と呼ばれています。
 

社会保険労務士です。 『おせっかい親父』または『親父』と呼ばれています。
モデル就業規則です。 



























それでは、就業規則作成に奮闘する姿を見ていきましょう。 まず、5人が一堂に会した初日の場面です。

  そんなわけで、就業規則とやらを作ることになったから、君たち、よろしくお願いするよ。
  私たちも、初めてなので、うまくできるかどうか… でも、精一杯がんばります。
  微力ながら、皆さんのサポートをさせていただきます。
まずは、就業規則のコンセプトを考えてみましょう。
  最近、みんなたるんでいるわ。 給料泥棒って言われても仕方がない人たちばかり。 粛清のため、就業規則を作るのよ。 『懲らしめ』が就業規則のコンセプトよ。
  それって、ボクのこと? 性悪説ってやつだね。 俺は性善説だな。 みんな、やる気になればやるよ。 ……まあ、言ってみれば、みんなのやる気を引き出すために、就業規則は必要なんだろうな… 就業規則のコンセプトは『愛』だね。
  そういうことではなくて、法律で、就業規則を作らなければならないことになってるんです。  就業規則のコンセプトは『コンプライアンス』の喧伝です。
  わしとしては、みんなが等しく実力を発揮して、業務に取り組んでほしい。 就業規則のコンセプトは『切磋琢磨』だな。 
  労働条件と服務規律を定めて、労働トラブルを未然回避することが就業規則の目的じゃが、社長とモモちゃんとタクヤは、実質的観点からの主張じゃな。 カタキチは形式的観点からの主張と言えよう。 まあ、今のところは、このくらいにしておこう。
さて、それでは就業規則を作っていこう。
でも、漠然と進めて行ってもうまくいかんので、いわばマラソンのペースメーカーのようなものが必要じゃな。
厚生労働省のHPから『モデル就業規則』をダウンロードしてきたので、これをペースメーカーにして進めていくことにしよう。
  就業規則規程例


はじめに

1 就業規則の意義

従業員が安心して働ける明るい職場を作ることは、事業規模や業種を問わず、すべての事業場にとって重要なことです。そのためには、あらかじめ就業規則で労働時間や賃金をはじめ、人事・服務規律など、従業員の労働条件や待遇の基準をはっきりと定め、労使間でトラブルが生じないようにしておくことが大切です。


2 就業規則の内容

就業規則に記載する事項には、労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「労基法」といいます。)第89条により、必ず記載しなければならない事項(以下「絶対的必要記載事項」といいます。)と、各事業場内でルールを定める場合には記載しなければならない事項(以下「相対的必要記載事項」といいます。)とがあります。このほか、使用者において任意に記載し得る事項もあります。

絶対的必要記載事項は次のとおりです。
(1) 労働時間関係
始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
(2) 賃金関係
賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(3) 退職関係
退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)

相対的必要記載事項は次のとおりです。
(1) 退職手当関係
適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
(2) 臨時の賃金・最低賃金額関係
臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額に関する事項
(3) 費用負担関係
労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
(4) 安全衛生関係
安全及び衛生に関する事項
(5) 職業訓練関係
職業訓練に関する事項
(6) 災害補償・業務外の傷病扶助関係
災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(7) 表彰・制裁関係
表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
(8) その他
事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項

 なお、就業規則は、その内容が法令及び当該事業場において適用される労働協約に反してはなりません。法令又は労働協約に反する就業規則については、所轄労働基準監督署長はその変更を命ずることができます(労基法第92条)。


3 就業規則の作成及び変更の手続

労基法は、従業員を1人でも使用する事業場に適用されますが、就業規則については、労基法第89条により、常時10人以上の従業員を使用する事業場において、これを作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないとされており、就業規則を変更する場合も同様に所轄労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。また、就業規則は、企業単位ではなく事業場単位で作成しなければなりません。例えば、1企業で2以上の営業所、店舗等を有している場合、企業全体の従業員の数を合計するのではなく、それぞれの営業所、店舗等を1つの事業場としてとらえ、常時使用する従業員が10人以上の事業場について就業規則を作成する義務が生じます。
労基法第90条による、就業規則を作成し、又は変更する場合の所轄労働基準監督署長への届出については、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を記し、その者の署名又は記名押印のある書面(意見書)を添付しなければなりません。この場合の労働者の過半数を代表する者は、@労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと、A就業規則の作成及び変更の際に、使用者から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の方法によって選出された者であることのいずれにも該当する者でなければなりません(労基法施行規則第6条の2)。
また、就業規則は事業場ごとに届け出る必要がありますが、複数の営業所、店舗等の事業場を有する企業については、営業所、店舗等の就業規則が本社の就業規則と同一の内容のものである場合に、本社所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して一括して届け出ることも可能です。
なお、就業規則の作成又は変更に当たっては、その内容をよく吟味するとともに上記の手続等を遵守しなければなりません。特に、就業規則を従業員にとって不利益に変更する場合には、従業員の代表の意見を十分に聴くとともに、変更の理由及び内容が合理的なものとなるよう慎重に検討することが必要です。


4 就業規則の周知
 
作成した就業規則は、従業員の一人ひとりへの配付、従業員がいつでも見られるように職場の見やすい場所への掲示、備付け、あるいは電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにするといった方法により、従業員に周知しなければなりません(労基法第106条第1項)。
就業規則は、作成したり、従業員の代表者から意見を聴取しただけでは効力は発生しないと解されています。就業規則の効力発生時期は、就業規則が何らかの方法によって従業員に周知された時期以降で、就業規則に施行期日が定められているときはその日、就業規則に施行期日が定められていないときは、通常は従業員に周知された日と解されています。


5 モデル就業規則の活用に当たって

このモデル就業規則(以下「本規則」といいます。)は、平成22年4月現在施行されている労基法等の規定に基づいて作成してありますが、就業規則の内容は事業場の実態に合ったものとしなければなりません。したがって、就業規則の作成に当たっては、各事業場で労働時間、賃金などの内容を十分検討するようにしてください。
本規則6頁以降にあります下線部分(例えば、規程例第1条第1項及び第2条第1項中の「    株式会社」や、第5条第1項中の「   週間以内」などの下線部分)につきましては、法令に従い、各事業場の実情に応じて具体的な名称や数字等を定めてください。また、規程例の下線部の一部(例えば、1か月単位の変形労働時間制(隔週週休2日制を採用する場合)の規程例第16条第2項中の「7 時間15分」などの下線部分)には、あらかじめ数字を記入しているものや、第37条第2項中の「無給/通常の賃金を支払うこと」と表記しているものがありますが、これらは規程例の内容を分かりやすく解説するために便宜的に記入したものですので、これにつきましても、法令に従い各事業場の実情に応じて具体的な数字等を定めてください。
 また、本規則は、主として通常の従業員への適用を想定して作成しています。したがって、パートタイム従業員や臨時の従業員等を雇用している場合、就業規則の作成に当たっては、本規則の各条項についてパートタイム従業員等への適用の可否について必ず検討し、必要に応じて別個の就業規則を作成してください。
 なお、パートタイム従業員に関する事項について就業規則を作成したり、変更する場合には、その事業所において雇用するパートタイム従業員の過半数を代表する者の意見を聴くように努めなければなりません(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号。以下「パートタイム労働法」といいます。)第7条)。
 

 

ってなわけで、まずは就業規則の全体像を眺めてきた。
それじゃ、これから各条項ごとに検討していくこととしよう。 
  第1章 総則

総則には、一般的に就業規則の作成の目的や適用範囲等を規定します。

(目的)
第1条 この就業規則(以下「規則」という。)は、労働基準法(以下「労基法」という。)第89条に基づき、    株式会社の従業員の就業に関する事項を定めるものである。
2 この規則に定めた事項のほか、就業に関する事項については、労基法その他の法令の定めによる。

【第1条 目的】
1 この就業規則規程例(以下「本規程例」といいます。)では、従業員の就業に関する事項を定めていますが、その前提にある法令上の基準は、労基法等関係法令に定められています。
2 本規程例に従業員の就業に関するすべての事項が定められているわけではありません。本規程例に定めがない事項については、労基法等関係法令の規定によることになります。
3 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となります。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準によることになります(労働契約法(平成19年法律第128号。以下「契約法」といいます。)第12条)。また、就業規則は法令又は事業場に適用される労働協約に反してはなりません(労基法第92条)。

 

『この規則に定めた事項のほか、就業に関する事項については、労基法その他の法令の定めによる。』ってか? それじゃあ、この条項があれば、それで終わりジャン。 それじゃあ、これで終わりってことで!

 

タツヤ。 お前あほか? 労働条件については、確かにその多くは労基法その他の法令に書いてあるが、その条件は最低限のもの。 法令以上の条件であれば、OKってことを言っているんですよ。 それに、法令等で明らかでないものもあるんですよ。 服務規律に関するものは、ほとんど法令に定められていません。 これらを明らかにするためにも、今回がいいチャンスなんですよ。 

 

労働条件については、法令に定めがあれば、その最低限にしましょう。 これで決まり。 服務規律関連のものは、オリジナルでいいんだから、メッチャ厳しくしましょう! 

 

まあ、そんなにあわてないで。 少なくとも、このモデル就業規則に書かれてある条項を、法令以上の内容ですべて盛り込めば、違法ではない、と言える。 あとは、一条項ごとに残すか残さないか、残すとしてアレンジするか否か、アレンジするとしてどうアレンジするか、検討していくことにしよう。 
第2項のあとに、『ただし、会社に対するもので、強制力を伴わないものは除く。』というような
ただし書を入れてもいいかも知れんな。 いわゆる努力規定に関しても、文字通り法令上努力義務が負わされているのじゃが、なかなかそうもいかんだろうしね。
まあ、第1条はこんなところでいいじゃろ。
  よし、それで決まりじゃ。 次に行こう。 
  (適用範囲)
第2条 この規則は、    株式会社の従業員に適用する。
2 パートタイム従業員の就業に関する事項については、別に定めるところによる。
3 前項については、別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する。


【第2条 適用範囲】
1 就業規則は、すべての従業員に適用されるものを作成する必要があります。しかし、就業規則は、すべての従業員について必ずしも同一のものでなければならないわけではありません。同一の事業場であっても、通常の従業員と勤務態様の異なるパートタイム従業員等については、一定の事項について特別の規定を設けたり、別の就業規則を定めることができます。本規程例では、パートタイム従業員の就業に関する事項について、就業規則本体とは別に定める形式をとっています。パートタイム従業員の就業規則の規程例は、PDF版についてはPDF版、WORD版についてはWORD版になります。
なお、パートタイム従業員等について、規程の一部を適用除外とする場合や全面的に適用除外とする場合には、就業規則本体にその旨明記し、パートタイム従業員等に適用される規定を設けたり、別の就業規則を作成しなければなりません。

 

うち、パートなんかいないじゃん。 なんで、第1項だけでいいじゃん。 

 

タクヤ。 なに言ってんのよ。 今はいなくても、これから会社がどんどん大きくなっていくんだから、パートも必要になるわよ。 でも、説明文の『なお書』の方法がいいわね。 労働時間とか賃金とか以外は、ほとんど正社員もパートも同じだから。 パートにもビシっと働いてもらわなければいけないわ。 服務規律と懲戒規定が、一番肝心なのよ。

 

いや。 パート就業規則は別規定にすべきです。 労働条件については、正社員とパートではかなり違うはずです。 周知との関係では、正社員には正社員用の就業規則を周知すればよく、パートにはパート用の就業規則を周知すればいいのですから、そうした方が、お互いに比較することによって混乱しないようにすることができます。 

 

正社員用・パート用を含めて、他に賃金規程・○○規程等があった場合、そのすべてが就業規則になるわけじゃから、正社員にもパート用の就業規則を周知しなければならず、パートにも正社員用の就業規則を周知しなければならん。  
  よし。 今後、パートの利用を考えちょる。 説明文の『なお書』の方法を採って、各条項ごとに検討していくようにしよう。 
  (規則の遵守)
第3条 会社は、この規則に定める労働条件により、従業員に就業させる義務を負う。また、従業員は、この規則を遵守しなければならない。

【第3条 規則の遵守】
1 労基法第2条において、労働者及び使用者は、就業規則等を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならないと規定されています。

  まあ、当然のことを言っちょるようだから、これでいいじゃろ。 
  第2章 採用、異動等

採用、異動等については、一般的に採用に際しての手続に関する事項、試用期間、労働条件の明示、人事異動、休職に関すること等を定めます。


(採用手続)
第4条 会社は、入社を希望する者の中から選考試験を行い、これに合格した者を採用する。

【第4条 採用手続】
1 会社は、従業員の採用に当たり、男女かかわりなく均等な機会を与えなければなりません(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号。以下「均等法」といいます。)第5条)。
2 合理的な理由がない場合に、従業員の採用において身長・体重・体力を要件とすること、総合職に転居を伴う転勤に応じることを要件とすることは、間接差別として禁止されています(均等法第7条)。
 

 

まずは、ダメ人間は入り口でシャットアウトすべきだわ。 思想審査を含めて、バッチリ試験しましょう。 

 

人間、経験だからね。 うちを選んでくれた人は、まずはみんな採用して、いいところは伸ばし、悪いところは目をつぶればいいんじゃない? 

 

目をつぶっちゃダメだよ。 当然直していかなけりゃ。 それでも改善しないようならば、解雇等も検討しなければならない。 でも、採用の自由があるから、最初の見極めも重要だね。 

 

採用の自由があるから、最初の見極めは確かに重要じゃが、思想審査ってのは慎重にすべきじゃな。 『試験』ってな文言はとってもいいかも知れん。  
  採用は、わしが担当する。 採用したら、みなうちの財産じゃよ。 じっくり、教育・指導していくよ。 
  (採用時の提出書類)
第5条 従業員として採用された者は、採用された日から  週間以内に次の書類を提出しなければならない。
1 履歴書
2 住民票記載事項証明書
3 自動車運転免許証の写し(ただし、自動車運転免許証を有する場合に限る。)
4 資格証明書の写し(ただし、何らかの資格証明書を有する場合に限る。)
5 その他会社が指定するもの
2 前項の定めにより提出した書類の記載事項に変更を生じたときは、速やかに書面で会社に変更事項を届け出なければならない。

【第5条 採用時の提出書類】
1 会社は、従業員の年齢、現住所を確認するに当たり、従業員から戸籍謄本(抄本)や住民票の写しを提出させることは適切ではありません。住民票記載事項の証明書により処理することが適切です。また、提出させる書類については、その提出目的を従業員に説明し、明らかにしてください。

 

ここには書いてないけど、誓約書は必要ね。 もし、自分が会社に貢献できないことがわかったときや会社に迷惑をかけたときは、即刻ご自身で辞めていただく。 いてもいなくてもいい人間は、自ら身を引いていただく。 いちゃいけない人間は、当然自ら辞めていただく。 これを誓約書に書いてもらう。 そのくらいの決意が必要だわ。

 

仕事だけじゃなくて、人格も肝心だね。 趣味なんかも、結構仕事にいい方向に結びつくこともある。 そうだ。 趣味について、まず書いてもらおう。 

 

おまえ、マジかよ? 俺、切れるぜっ!
おっと、失礼しました。 それより、お金を扱ったりする人もいるのだから、身元保証書が必要になりますね。 

 

そうだね。 ケースバイケースで、ほかにもいろいろ提出書類が必要になるかもしれない。 身元保証書については、『身元保証に関する法律』ってなのがあるから、これに留意しなければならん。 
  よし。 身元保証書は、原則として求めることにしよう。 あとは、採用時にその都度フレキシブルに考えよう。 
  (試用期間)
第6条 従業員として新たに採用した者については、採用した日から  か月間を試用期間とする。
2 前項について、会社が特に認めたときは、この期間を短縮し、又は設けないことがある。
3 試用期間中に従業員として不適格と認めた者は、解雇することがある。ただし、入社後14日を経過した者については、第47条第2項に定める手続によって行う。
4 試用期間は、勤続年数に通算する。

【第6条 試用期間】
1 試用期間を設ける場合にその期間の長さに関する定めは労基法上ありませんが、従業員の地位を不安定にすることから、あまりに長い期間を試用期間とすることは好ましくありません。
2 試用期間中の解雇については、最初の14日間以内であれば即時に解雇することができますが、試用期間中の者も14日を超えて雇用した後に解雇する場合には、原則として30日以上前に予告するか、又は予告の代わりに平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要となります(労基法第20条、第21条)。

 

第3項の『入社後14日を経過した者については』うんぬんとあるけど、要は解雇予告が必要ってことね。 これは甘いわね。 まあ、試用期間は1年として、もしこの間に解雇するときは、解雇予告手当なしに、即時解雇にすべきだわ。 

 

普通は3ヶ月だよな。 普通でいいよ。 

 

モモちゃんは、ちょっと勘違いしています。 労基法の規定によるものですから、仕方がありません。 期間は、確かに3ヶ月くらいが普通ですので、それでいい、と思います。

 

判例を整理すると、本採用後解雇はとても難しくなっちょる。 期間は、原則的には3ヶ月くらいでいいじゃろうが、場合によっては、延長規定を設けた方がいいじゃろう。 延長の場合は、本人の合意も必要じゃから、注意しなければならん。 
  確かに、3ヶ月間での見極めは難しいこともあるかも知れんのぉ。 よし。 期間は一応3ヶ月にしといて、延長規定を盛り込むことにしよう。 
 

(労働条件の明示)
第7条 会社は、従業員を採用するとき、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、その他の労働条件を記した労働条件通知書及びこの規則を交付して労働条件を明示するものとする。

【第7条 労働条件の明示】
1 従業員を雇い入れるに際し、従業員に賃金、労働時間、その他の労働条件を明示することが必要です。特に、労働条件を明示するに当たり、次の(1)から(5)までの項目(昇給に関する事項を除く)については、書面を交付して明示することが義務付けられています(労基法第15条、労基法施行規則第5条)。

 

(1) 労働契約の期間に関する事項
(2) 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
(3) 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに交替制により就業させる場合における就業時転換に関する事項
(4) 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(5) 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

さらに、パートタイム従業員については、雇入れに際して、昇給、退職手当、賞与の有無を文書の交付等により明示しなければなりません(パートタイム労働法第6条第1項)。 

 

これも、労基法による要請なので、どうにもなりません。 

 

異議なし。 

 

タクヤは、どうせ何もないんだから、黙ってて頂戴。 …… でも、私もこのままでいいわ…

 

運用上は、契約書にした方がいいかもしれんな。 そうすれば、両者の署名・捺印によるわけじゃから、トラブル回避のためには、とても有効となる。 
  よし。 それじゃあ、契約書形式にしよう。 
  (人事異動)
第8条 会社は、業務上必要がある場合に、従業員に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。
2 会社は、業務上必要がある場合に、従業員を在籍のまま関係会社へ出向させることがある。
3 前2項の場合、従業員は正当な理由なくこれを拒むことはできない。

【第8条 人事異動】
1 従業員を採用した後、会社が業務上の理由から就業場所や従事する業務を変更することは、会社と従業員との間で就業場所等について変更することはない等の特別な合意がない限り可能です。しかしながら、従業員の意に沿わない就業場所等の変更を命じた場合、トラブルが生じ得ますので、本規則のように就業規則に明記しておくことが望ましいと言えます。もちろん、従業員の同意を得るようにすることが大切であることは言うまでもありません。
また、他の会社へ出向させることが想定される場合、出向に関する規定を設けておく必要があります。

 

正当な理由があれば、拒否できるんだ… でも、いろんな仕事やったほうが面白いじゃん。 『絶対に拒否できない。』にしてもいいんじゃない? 

 

そうそう。 甘えは許せないわ。 私も、『絶対に拒否できない。』にすべきだと思うわ。

 

高齢・病弱等のご家族をお持ちの従業員もいらっしゃることから、転勤を伴う異動は、この点留意すべきです。 また、適材適所というものがありますから、無理強いすべきではありません。 

 

カタキチも、少し丸くなったな。 いい線いってるかもね。 
  わしは、無理強いせんよ。  『本人の申し出により、異動を命ずることがある。』ってのも、入れとくかな。 
 

(休職)
第9条 従業員が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。
1  業務外の傷病による欠勤が  か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき                          年以内
2  前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき
                                必要な期間
2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

【第9条 休職】
1 休職とは、業務外での疾病等主に従業員側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない場合に、従業員としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱いをいいます。なお、本条第1項第2号の「特別な事情」には、公職への就任や刑事事件で起訴された場合等がそれに当たります。
2 休職期間中に休職事由がなくなった場合は、当然に休職が解除され復職となります。
3 休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません。
 

 

休職は、法的には不要よね。 2項は、それこそ様々なケースがあり得るだろうから残しておいてもいいけど、1項の傷病の場合は、即刻自らお辞めになっていただく、ってことでいいと思うわ。 治ったら、またうちを受けなおせばいいのよ。 

 

モモちゃんの後を続けてみると、もし即刻自らお辞めにならないときは、解雇ってことだろうね。 なんか、それって冷たくない? 

 

休職と解雇は、競合関係になります。 実際の適用現場では、いずれを選ぶかは、慎重にすべきです。 

 

例では、休職期間を明記するようになっとるが、フレキシブルな規定にすべきかも知れんな。 
  よっしゃ。 休職期間は、その都度、わしが決める、ってことにしよう。 
   第3章 服務規律

(服務)
第10条 従業員は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、会社の指示命令に従い、職務能率の向上及び職場秩序の維持に努めなければならない。

 

わたし、服務規律は熱いわよ! 

 

お手柔らかにね… 

 

服務規律は、任意的記載事項です。 しかし、会社が円滑に業務運営できるようにするためには、必須です。 ちなみに、よく『会社』との表現がありますが、労基法の使用者概念と同じです。 規定ごとに、それが社長だけであったり、部下を持つ管理者であったり、変動します。 それぞれ、合理的に解釈しなければなりません。 

      

そうじゃな。 まずは、この条文は訓示規定となろうから、この程度でいいじゃろう。 
   (遵守事項)
第11条 従業員は、以下の事項を守らなければならない。
1 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。
2 職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈
与を受ける等不正な行為を行わないこと。
3 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。
4 会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。
5 在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しな
いこと。
6 許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。
7 酒気を帯びて就業しないこと。
8 その他従業員としてふさわしくない行為をしないこと。

【第11条 遵守事項】
1 服務規律及び遵守事項については、就業規則に必ず定めなければならない事項ではありませんが、職場の秩序維持に大きな役割を果たすことから、会社にとって従業員に遵守させたい事項を定めてください。

 

ここに盛り込む内容は、じっくり時間をかけて考えましょう。 
  よし。 いくらでも出てきそうだから、ここであまり時間をかけても、切りがないじゃろう。 みな、項目をリストアップして、わしのところに持って来るように。 
   (セクシュアルハラスメントの禁止)
第12条 性的言動により、他の従業員に不利益や不快感を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

【第12条 セクシュアルハラスメントの禁止】
1 職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主は、雇用管理上必要な措置を講じなければならないこととされています(均等法第11条)。

 

あなたたち。 そりゃ、わたしはかわいいから、みんな擦り寄ってくるけど、こう見えても柔道と空手初段よ。 わたしにセクハラなんてしたら、命はない、って覚悟しとくことね。 

 

だれも、お前なんか相手にしないよ… おっと失礼。 

 

アウト! それって、完全なセクハラです。 それと、逆セクハラも禁止されています。 僕って柔だけど、僕への言動は注意しましょう。 

 

ポスターによる周知や、専担者の選任も必要でしょう。 
  よし。 ポスターはモモちゃんに任せよう。  わしが専担者をやろう。
 

(個人情報保護)
第13条 従業員は、会社及び取引先等に関する情報の管理に十分注意を払うとともに、自らの業務に関係のない情報を不当に取得してはならない。
2 従業員は、職場又は職種を異動あるいは退職するに際して、自らが管理していた会社及び取引先等に関するデータ・情報書類等を速やかに返却しなければならない。

【第13条 個人情報保護】
1 平成17年4月からの個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の全面施行により、使用者に個人情報の適正な管理に関する対策が義務付けられています。
 

  今一番注意すべき事項じゃろう。 個別事案で少しでも疑問が生じたら、わしに確認して欲しい。 そうした条項を盛り込むこととしよう。 
   (始業及び終業時刻の記録)
第14条 従業員は、始業及び終業時にタイムカードを自ら打刻し、始業及び終業の時刻を記録しなければならない。

【第14条 始業及び終業時刻の記録】
1 労働時間の管理については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日付け基発第339号)で、使用者が講ずべき措置が具体的に示されています。使用者は、この基準を遵守し、労働時間を適正に把握する等適切な時間管理を行ってください。
(参考)
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(抜粋)」
1. 始業・終業時刻の確認及び記録
使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
2. 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
(1) 使用者が、自ら現認することによりこれを確認し、記録すること。
(2) タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録す
ること。
3. 自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置
2の方法によることなく、自己申告制により行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずること。
(1) 自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
(2) 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。
(3) 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のための、社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。
4. 労働時間の記録に関する書類の保存
労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109条に基づき3年間保存すること。

 

タクヤ。 この前、遅刻しそうになって、フミヤにタイムカードの代刻をさせたでしょ。 バレバレよ。 

 

モモちゃんだって、よく仕事中、携帯メールやってるジャン。 バレバレだよ。 

 

不正打刻や業務専念義務違反には、毅然たる対応が必要です。 この間の賃金カットは、ノーワーク・ノーペイの原則から、当たり前です。 また、これに加えて、制裁規定の発動も必要です。 

 

友達でしょ? ここだけの内緒だよ。 
  聞いちゃったよ。 厳しき沙汰を待つように。 

 

ははぁ。 恐れ入りました。 
 

(遅刻、早退、欠勤等)
第15条 従業員は遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する際は、事前に    に対し申し出るとともに、承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後に速やかに届出をし、承認を得なければならない。
2 前項の場合は、第39条に定めるところにより、原則として不就労分に対応する賃金は控除する。
3 傷病のため継続して  日以上欠勤するときは、医師の診断書を提出しなければならない。

【第15条 遅刻、早退、欠勤等】
1 本規程例では従業員が遅刻、早退若しくは欠勤等をする場合、事前の申出と会社の承認を得ることとしていますが、どのような手続を規定するかは各事業場で決めることです。しかし、こうした手続を取ることは会社の秩序を維持する上でも重要なこととなりますので、明確に定めてください。
2 欠勤何日以上で医師の診断書を提出させるかは、各事業場で決めることです。
 

 

さっきの携帯メールは、業務上の行為よ。 誤解のないように。
カタキチが言ったとおり、第2項の規定によって、この間の賃金は出さない。 『原則として』はいらないわ。 無条件で賃金カットだわ。 

 

あれは、遅刻じゃないよ。 お客様へのご訪問だった。 誤解のないように。 

 

普通はみんな早めに家を出ているでしょうけど、交通事情によるやむを得ない遅刻なども考えられますので、フレキシブルに対応すべきでしょう。 

 

傷病手当金の関係から、第3項は3日以上とすることが多いようです。 
  よし。 医師の診断書は欠勤3日以上、遅刻等はわしが個別判断することにしよう。 
   第4章 労働時間、休憩及び休日

1 労働時間、休憩及び休日に関することは、就業規則の絶対的必要記載事項に当たりま
す。
2 労基法第32条第1項において、1週間の労働時間の上限は40時間と定められています。ただし、特例措置として、商業(労基法別表第1第8号)、映画の製作の事業を除く映画・演劇業(同第10号)、保健衛生業(同第13号)、接客娯楽業(同第14号)の事業であって、従業員数10人未満の事業場(以下「特例措置対象事業場」といいます。)は、1週44時間まで働かせることが認められています(労基法第40条、労基法施行規則第25条の2)。
また、労基法第32条第2項において、1日の労働時間の上限は8時間と定められています。
3 休憩時間については、1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩時間を与えなければなりません(労基法第34条)。
4 休日については、毎週少なくとも1回又は4週間を通じ4日以上与えなければなりません(労基法第35条)。
5 上記1から4までの労基法の規定に適合する就業規則の定め方としては、@週休2日制、A週休1日制で1日の所定労働時間を短く設定、B変形労働時間制(1か月単位、1年単位等)を導入する方法等があります。それぞれの事業場の実情に応じて、下記の規程例を参考に就業規則を作成してください。

 

[例1] 完全週休2日制を採用する場合の規程例

1日の労働時間を8時間とし、完全週休2日制を採用する場合の規程例です。

(労働時間及び休憩時間)
第16条 労働時間は、1週間については40時間、1日については8時間とする。
2 始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、又は繰り下げることがある。この場合、   が前日までに従業員に通知する。

 

1 一般勤務
始業・終業時刻
休憩時間
始業  午前  時  分
  時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分


2 交替勤務
 (イ)1番(日勤)
始業・終業時刻
休憩時間
始業  午前  時  分
  時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分


(ロ)2番(準夜勤)
始業・終業時刻
休憩時間
始業  午前  時  分
  時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分


(ハ)3番(夜勤)
始業・終業時刻
休憩時間
始業  午前  時  分
  時  分から  時  分まで
終業  午後  時  分


3 交替勤務における各従業員の勤務は、別に定めるシフト表により、前月の   日までに各従業員に通知する。
4 交替勤務における就業番は原則として   日ごとに   番を   番に、
   番を   番に、   番を   番に転換する。
5 一般勤務から交替勤務へ、交替勤務から一般勤務への勤務形態の変更は、原則として休日又は非番明けに行うものとし、前月の   日前までに    が従業員に通知する。

【第16条 労働時間及び休憩時間】
1 始業及び終業の時刻、休憩時間は、就業規則に必ず定めておかなければなりません。また、交替勤務をとる場合は、勤務形態ごとの始業・終業時刻及び休憩時間を規定するとともに、就業番の転換についても就業規則に規定してください。
2 休憩は、原則として事業場すべての従業員に一斉に与えなければなりませんが、本規程例のように交替勤務を採用する等一斉に与えることが困難な場合には、従業員代表との書面による協定(以下「労使協定」という。)を結ぶことにより交替で与えることができます(労基法第34条第2項)。この場合、一斉に休憩を与えない従業員の範囲及び当該従業員に対する休憩の与え方について、労使協定で定めなければなりません(労基法施行規則第15条)。
また、一斉休憩付与に対する例外として、労基法第40条に基づき、労基法施行規則第31条において、運輸交通業(労基法別表第1第4号)、商業(同第8号)、金融・広告業(同第9号)、映画・演劇業(同第10号)、通信業(同第11号)、保健衛生業(同第13号)、接客娯楽業(同第14号)及び官公署の事業について、一斉に休憩を与えなくてもよい旨が定められています。
労使協定の従業員代表については、本規程例第18条の解説を参照してください。
3 休憩時間は、従業員に自由に利用させなければなりません。単に作業に従事しないだけでいつでも作業にとりかかれる状態で待機させている時間(いわゆる「手待ち時間」)については労働時間に当たり休憩時間ではありませんので注意してください。

 

うちは、ソフト開発に携わる従業員が多い。 わしも、若い頃COBOL言語のプログラマーだったのでよく分かるのじゃが、調子がいいときは仕事がはかどるが、調子が出ないと、からっきしダメ。 労働時間に関しては、なるべくフレキシブルに対応したい。 

 

社長。 分かってるじゃないですか。 そうなんですよ。 ボクがそれそのもの。 

 

わたしは事務だから、関係なさそうね。 対外的な対応も多いので、フィックスしていた方がいいです。 

 

そうですね。 事務のように固定的な労働時間が妥当したり、営業のように弾力的な労働時間が妥当したりすることがありますよね。 ただし、プログラマーは固定的な労働時間にすべきでしょう。 調子の良し悪しなんて、甘えですよ。 

 

そうですな。 弾力的な労働時間制のひとつに専門業務型裁量労働制というのがありますが、単なるプログラマーには適用できん。 フレックスタイム制なんかどうじゃろ? 
  そうじゃな。 それじゃあ、業態によって、仔細を検討することにしよう。 
   (休日)
第17条 休日は、次のとおりとする。
1 土曜日及び日曜日
2 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
3 年末年始(12月  日〜1月  日)
4 夏季休日(  月  日〜  月  日)
5 その他会社が指定する日
2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。

【第17条 休日】
1 労基法では何曜日を休日とするかあるいは国民の祝日を休日とするかについて規定していません。1週間の中で何曜日を休日としても、また、週によって異なる曜日を休日としても差し支えありません。さらに、勤務の実態に合わせて、従業員ごとに異なる日に交替で休日を与えることもできます。
2 休日は、原則として暦日(午前0時から午後12時までの継続24時間をいう。)で与えなければなりません。しかし、番方編成による交替制(8時間3交替勤務のような場合をいう。)を導入するような場合、以下の要件を満たせば休日は暦日ではなく、継続した24時間を与えれば差し支えないとされています(昭和63年3月14日付け基発150号)。
(イ)番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されていること。
(ロ)各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではないこと。
3 本条第2項において定めている、いわゆる「振替休日」とは、例えば業務の都合によって所定休日である日曜日に勤務させなければならない場合に、当該日曜日を勤務日に変更し、その代わり勤務日である例えば月曜日を休日とするように、所定の休日とあらかじめ他の勤務日と振り替えることをいいます。
また、「代休」とは、休日に休日労働が行わせた場合に、その代わりに以後の特定の勤務日又は従業員の希望する任意の勤務日の労働義務を免除し、休みを与える制度のことをいいます。振替休日と代休の労基法上での取扱いの違いは次のとおりです。

「労働基準法上の振替休日と代休の取扱いの違い」
1  振替休日は、あらかじめ定められた休日を他の日に振り替えることですから、振替前の休日に勤務しても通常の勤務と同じです。したがって、休日労働に関する割増賃金の問題は発生しませんが、振り替えた休日が週をまたがった場合、振替勤務したことにより、当該週の実労働時間が週の法定労働時間を超える場合があります。その場合は時間外労働に関する割増賃金の支払が必要となります。
その一方で、代休は、定められた休日に休日労働を行わせた場合ですから、その後に代休を与えても休日労働をさせたことが帳消しにされるものではありませんので、休日労働の割増賃金を支払う必要があります。
2  休日は従業員の労働義務のない日ですから、これを振り替える場合は、以下に示す措置が必要となります。
1. 就業規則に振替休日の規程を置くこと。
2. 振替休日は特定すること。
3. 振替休日は4週4日の休日が確保される範囲のできるだけ近接した日とするこ
 と。
4. 振替は前日までに通知すること。

 

〔例2〕1か月単位の変形労働時間制(隔週週休2日制を採用する場合)の規程例

〔例2〕は、1か月単位の変形労働時間制(変形期間は2週間)を活用しつつ、隔週での週休2日制で、毎日の所定労働時間を7時間15分とすることにより、週40時間労働制を実施する場合の規程例です。

以下略

 

休日は、自分で決めるようにしましょう。 ボクって、サーフィンが趣味で、波が立つと海に行かないと、もう我慢できないんですよ。

 

タクヤって、ホントにわけわかんない。 休日は、法令上許される最低限にすべきよ。 いやだったら、うちで働く権利はないわ。  

 

確かに。 休日は、労働時間とあわせて、法令上の制約を守りながら決定すべきです。 

 

そうじゃな。 休日と労働時間は、様々な法令上の制度を交えながら、うまく加減して決定した方がいいじゃろうな。  

 

そうじゃな。 それじゃあ、これも、業態によって、仔細を検討することにしよう。  
   (時間外及び休日労働等)
第18条 業務の都合により、第16条の所定労働時間を超え、又は第17条の所定休日に労働させることがある。
2 前項の場合、法定労働時間を超える労働又は法定休日における労働については、あらかじめ会社は従業員の過半数代表者と書面による労使協定を締結するとともに、これを所轄の労働基準監督署長に届け出るものとする。
3 妊娠中の女性、産後1年を経過しない女性従業員であって請求した者及び18歳未満の者については、第2項による時間外労働又は休日若しくは深夜(午後10時から午前5時まで)労働に従事させない。
4 災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、第1項から前項までの制限を超えて、所定労働時間外又は休日に労働させることがある。

【第18条 時間外及び休日労働等】
1 法定労働時間(1週40時間(特例措置対象事業場おいては1週44時間)、1日8時間)を超え、又は法定休日(週1回又は4週4日の休日)に労働させる場合、労基法第36条に基づく労使協定(いわゆる三六協定)の締結及び届出が義務付けられています。
使用者は、従業員の代表と労使協定を締結し、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出た場合に、当該協定の範囲内で従業員に時間外労働又は休日労働をさせることができます。
2 「従業員の代表」とは、事業場の従業員の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような労働組合がない場合にはその事業場の従業員の過半数を代表する者をいいます。
 従業員の代表は、次の@、Aのいずれにも該当する者でなければなりません(労基法施行規則第6条の2)。
1 労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
2 労使協定の締結等を行う者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手
 等の方法により選出された者であること
3 従業員の代表に対する不利益な取扱いは禁止されています。従業員の代表であること若しくは従業員の代表になろうとしたこと、又は従業員の代表として正当な行為をしたことを理由として、解雇や賃金の減額、降格等労働条件について不利益な取扱いをしてはなりません。
4 就業規則と同様、三六協定についても従業員に周知する必要があります(労基法第106条第1項)。
5 三六協定において定める労働時間の延長の限度等に関しては、「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示154号。以下「時間外労働の限度基準」といいます。)」で定められています。使用者及び労働組合又は従業員の過半数を代表する者は、三六協定の締結に当たって、その内容が時間外労働の限度基準に適合したものとなるようにしなければなりません(労基法第36条第3項)。
6 三六協定で協定すべき内容は
1 時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由
2 業務の種類
3 従業員の数
4 1日及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間
5 労働させることができる休日
と定められています(労基法施行規則第16条)。


【時間外労働に関する延長時間の限度時間】

省略

ただし、上記の限度時間を超えて、臨時的に時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合、特別条項付き三六協定を結ぶことで、限度時間を超えて時間外労働時間を延長することができます。この特別条項付き三六協定は以下の要件を満たすことが必要です。
1 原則としての延長時間(限度時間以内の時間)を定めること。
2 限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情を具体的に定め
ること。なお、「特別の事情」は臨時的なものに限られ、一時的又は突発的なものであって、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものでなければなりません。
3 一定期間の途中で特別の事情が生じ、@により定めた原則としての延長時間を延長す
る場合に労使がとる手続を具体的に定めること。
4 限度時間を超えることのできる回数を定めること。
5 限度時間を超えて延長する場合の上限の時間を定めること。また、これをできる限り
短くするように努めること。
6 限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金の率を定めること。また、この率は法定
割増賃金率を超える率とするよう努めること。
なお、工作物の建設等の事業、自動車の運転の業務、新技術、新商品等の研究開発の業務等については時間外労働の限度基準は適用されません。
7 年少者(18歳未満の者)については、一定の場合を除き、労基法により時間外労働、休日労働やいわゆる変形労働時間制により労働させることはできません(労基法第60条)。また、原則として午後10時から翌日5時までの深夜時間帯に労働させることもできません(労基法第61条)。
8 使用者は、妊産婦から請求があった場合は、時間外、休日及び深夜労働をさせることはできません(労基法第66条)。また、請求をし、又は請求により労働しなかったことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません(均等法第9条第3項)。

 

うちって、ダラダラ残業があるじゃない。 7時まで残業する飲みメンバーがいたりすると、ホントは5時きっかりに仕事が終わってるのに、お付き合いで7時までいたりして。 その間、な〜んも仕事してないやつら。

 

論外だな。 ボクは酒飲めないから、そうしたことはないけど、当然さっさと帰るべきだな。 

 

残業は、許可制にすべきです。 
  ほお。 珍しくみんなの意思が一致したようだな。 よし、残業は許可制にしよう。 
   第5章 休暇等

年次有給休暇等法定の休暇のみならず、会社で設けている休暇については就業規則に必ず定めることが必要です。

(年次有給休暇)
第19条 採用日から6か月間継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、10日の年次有給休暇を与える。その後1年間継続勤務するごとに、当該1年間において所定労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、下の表のとおり勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。

省略

2 前項の規定にかかわらず、週所定労働時間30時間未満であり、かつ、週所定労働日数が4日以下(週以外の期間によって所定労働日数を定める従業員については年間所定労働日数が216日以下)の従業員に対しては、下の表のとおり所定労働日数及び勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。

省略

3 第1項又は第2項の年次有給休暇は、従業員があらかじめ請求する時季に取得させる。ただし、従業員が請求した時季に年次有給休暇を取得させることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に取得させることがある。
4 前項の規定にかかわらず、従業員代表との書面による協定により、各従業員の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある。
5 第1項及び第2項の出勤率の算定に当たっては、下記の期間については出勤したものとして取り扱う。
1 年次有給休暇を取得した期間
2 産前産後の休業期間
3 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平
成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)に基づく育児休業及び介護休業した期間
4 業務上の負傷又は疾病により療養のために休業した期間
6 付与日から1年以内に取得しなかった年次有給休暇は、付与日から2年以内に限り繰り越して取得することができる。
7 前項について、繰り越された年次有給休暇とその後付与された年次有給休暇のいずれも取得できる場合には、繰り越された年次有給休暇から取得させる。
8 会社は、毎月の賃金計算締切日における年次有給休暇の残日数を、当該賃金の支払明細書に記載して各従業員に通知する。

【第19条 年次有給休暇】
1 雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対しては最低10日の年次有給休暇を与えなければなりません(労基法第39条第1項)。
 また、週の所定労働時間が30時間未満であって、週の所定労働日数が4日以下あるいは年間の所定労働日数が216日以下の従業員(以下「所定労働日数が少ない者」といいます。)に対しては、通常の従業員の所定労働日数との比率を考慮して、労基法施行規則第24条の3で定める日数の年次有給休暇を与えなければなりません(同条第3項)。
2 所定労働時間や所定労働日数が変動する従業員の場合、本条第1項又は第2項のいずれに該当するかに関しては、年次有給休暇の「基準日」において定められている週所定労働時間及び週所定労働日数又は年間所定労働日数によって判断することとなります。ここでいう「基準日」とは、年次有給休暇の権利が発生した日のことであり、雇入れ後6か月経過した日、その後は1年ごとの日のことをいいます。
3 年次有給休暇の基準日を個々の従業員の採用日に関係なく統一的に定めることもできます。この場合、勤務期間の切捨ては認められず、常に切り上げなければなりません。例えば、基準日を4月1日に統一した場合には、その年の1月1日に採用した従業員についても3か月間継続勤務した後の4月1日の時点、すなわち法定の場合よりも3か月間前倒しで初年度の年次有給休暇を付与しなければなりません。
4 通常の従業員の年次有給休暇の日数は、その後、勤続年数が1年増すごとに所定の日数を加えた年次有給休暇を付与しなければなりません(労基法第39条第2項)。
5 継続勤務期間とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいいます。継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断しなければなりません。この点、例えば、定年退職して引き続き嘱託として再雇用した場合や、パートタイム従業員であった者を正社員に切り替えた場合等実質的に労働関係が継続しているときは、継続年数に通算されます。
6 出勤率が8割以上か否かを算定する場合、
1 業務上の負傷又は疾病により休業した期間
2 産前産後の女性が労基法第65条の定めにより休業した期間
3 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律76号。以下「育児・介護休業法」といいます。)に基づく育児・介護休業期間
4 年次有給休暇を取得した期間
については出勤したものとして取扱う必要があります。なお、本規程例第23条第2項に定める生理休暇について、年次有給休暇の出勤率の算定に当たって出勤したものとみなすことも、もちろん差し支えありません。
7 出勤率が8割に達しなかったときの翌年度は、年次有給休暇を与えなくても差し支えありません。この場合、年次有給休暇を与えなかった年度の出勤率が8割以上となったときは、次の年度には本条に定める継続勤務期間に応じた日数の年次有給休暇を与えなければなりません。
8 年次有給休暇は日単位で取得することが原則ですが、従業員が希望し、使用者が同意した場合であれば半日単位で与えることが可能です。また、事前に年次有給休暇を買い上げて従業員に休暇を与えないことは法違反となります。
なお、年次有給休暇は、2年間の消滅時効があるため、前年度分に限り繰り越すことができます。
9 年次有給休暇は、計画的付与の場合を除き、従業員の請求する時季に与えなければなりません。ただし、従業員が請求した時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、使用者は他の時季に変更することができます(労基法第39条第5項)。
10 本条第4項に定める年次有給休暇の計画的付与制度とは、従業員の代表との間で労使協定を結んだ場合、最低5日間は従業員が自由に取得できる日数として残し、5日を超える部分について、協定で年次有給休暇を与える時季を定めて従業員に計画的に取得させるものです(労基法第39条第6項)。
11 年次有給休暇を取得した従業員に対して、賃金の減額や精皆勤手当、賞与の額の算定に際しての年次有給休暇取得日を欠勤として取扱う等の不利益な取扱いをしてはいけません(労基法附則第136条)。

 

年次有給休暇なんて、甘っちょろいわよ。 社長の承認制にしましょう。 原則として認めない。 

 

いや。 年次有給休暇は、当然労働者の権利。 いつ取るのかもまったくの自由。 これだけは譲れないね。 社長だって、波が立った日はボクがいないってことは、承知済み。 

 

確かに、労働者の時季指定権の部分は原則的にそのとおり。 承認制というのはダメです。 ただし、会社も一定の要件を満たせば時季変更権の行使ができます。 タクヤの場合は、例外ですよ。

 

先の休日の考え方とも連動するが、計画年休の検討も必要かも知れんな。 
  よし、計画年休を検討することとしよう。 
  (年次有給休暇の時間単位での付与)
第20条 従業員代表との書面による協定に基づき、前条の年次有給休暇の日数のうち、1年について5日の範囲で次により時間単位の年次有給休暇(以下「時間単位年休」という。)を付与する。
(1)時間単位年休付与の対象者は、すべての従業員とする。
(2)時間単位年休を取得する場合の、1日の年次有給休暇に相当する時間数は、以下
のとおりとする。
1 所定労働時間が5 時間を超え6 時間以下の者…6 時間
2 所定労働時間が6 時間を超え7 時間以下の者…7 時間
3 所定労働時間が7 時間を超え8 時間以下の者…8 時間
(3)時間単位年休は1時間単位で付与する。
(4)本条の時間単位年休に支払われる賃金額は、所定労働時間労働した場合に支払わ
れる通常の賃金の1時間当たりの額に、取得した時間単位年休の時間数を乗じた額
とする。
(5)上記以外の事項については、前条の年次有給休暇と同様とする。

【第20条 年次有給休暇の時間単位での付与】
1 労使協定を締結すれば、年に5日を限度として、時間単位で年次有給休暇を与えることができます(労基法第39条第4項)。
2 時間単位年休の1時間分の賃金額は、@平均賃金、A所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、B健康保険法(大正11年法律第70号)第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額(ただし、Bについては従業員代表との書面による協定が必要です。)をその日の所定労働時間で除した額になります。@〜Bのいずれにするかは、就業規則等に定めることが必要です(労基法第39条第7項)。
3 労使協定に規定しなければならない内容は次のとおりです。
1 時間単位年休の対象従業員の範囲(対象となる従業員の範囲を定めます。)
2 時間単位年休の日数(5日以内の範囲で定めます。前年度からの繰越しがある場
合であっても、当該繰越し分を含めて5日以内となります。)
3 年次有給休暇1日分に相当する時間単位年休の時間数(1日分の年次有給休暇に
対応する所定労働時間数を基に定めます。1日の所定労働時間に1時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げて計算します。)
4 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数(ただし、1日の所定労働時間
を上回ることはできません。)
4 時間単位年休も年次有給休暇ですので、事業の正常な運営を妨げる場合は使用者による時季変更権が認められます。ただし、日単位での請求を時間単位に変えることや、時間単位での請求を日単位に変えることはできません。

 

時間単位の年休は、任意ってことだけど、わたしは導入に賛成だわ。 ホントに休まなければいけない、と言っても、一日休まなければならない、って言うのはそんなに多くないでしょうから。 周りの人への迷惑、っていうのも考えないと。 

 

ボクは、休むんだったら一日休みたいな。

 

まあ、労使協定で、申請ベースにすればいいのですから、置いておいてもいいと思います。 

      

そうじゃな。 労使協定で決めることにしよう。 
   (産前産後の休業)
第21条 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性従業員から請求があったときは、休業させる。
2 産後8週間を経過していない女性従業員は、就業させない。
3 前項の規定にかかわらず、産後6週間を経過した女性従業員から請求があった場合は、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることがある。

【第21条 産前産後の休業】
1 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性従業員が休業を請求した場合には、その者を就業させてはいけません(労基法第65条第1項)。
2 産後8週間を経過しない女性従業員を就業させてはいけません。ただし、産後6週間を経過した女性従業員から請求があったときは、医師が支障がないと認めた業務には就かせることができます(労基法第65条第2項)。
3 産前産後の休業を請求し、又は取得したことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません(均等法第9条第3項)。

 

(母性健康管理の措置)
第22条 妊娠中又は出産後1年を経過しない女性従業員から、所定労働時間内に、母
子保健法(昭和40年法律第141号)に基づく保健指導又は健康診査を受けるために申出があったときは、次の範囲で時間内通院を認める。
 @ 産前の場合
    妊娠23週まで・・・・・・・・4週に1回
    妊娠24週から35週まで ・・・2週に1回
    妊娠36週から出産まで ・・・・1週に1回
ただし、医師又は助産師(以下「医師等」という。)がこれと異なる指示をしたときには、その指示により必要な時間
 A 産後(1年以内)の場合
   医師等の指示により必要な時間
2 妊娠中又は出産後1年を経過しない女性従業員から、保健指導又は健康診査に基づき勤務時間等について医師等の指導を受けた旨申出があった場合、次の措置を講ずる。
1 妊娠中の通勤緩和措置として、通勤時の混雑を避けるよう指導された場合は、
原則として1 時間の勤務時間の短縮又は1 時間以内の時差出勤を認める。
2 妊娠中の休憩時間について指導された場合は、適宜休憩時間の延長や休憩の回
 数を増やす。
3 妊娠中又は出産後の女性従業員が、その症状等に関して指導された場合は、医
師等の指導事項を遵守するための作業の軽減や勤務時間の短縮、休業等の措置をとる。

【第22条 母性健康管理の措置】
1 事業主は、雇用する女性従業員が母子保健法(昭和40年法律第141号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければなりません(均等法第12条)。また、事業主は、雇用する女性従業員が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければなりません(均等法第13条)。
2 母性健康管理措置を求め、又は措置を受けたことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません(均等法第9条第3項)。

 

(育児時間及び生理休暇)
第23条 1歳に満たない子を養育する女性従業員から請求があったときは、休憩時間のほか1日について2回、1回について30分の育児時間を与える。
2 生理日の就業が著しく困難な女性従業員から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。

【第23条 育児時間及び生理休暇】
1 育児時間については、生後満1年に達しない子を育てている女性従業員から請求があった場合は、授乳その他育児のための時間を、一般の休憩時間とは別に与えなければなりません(労基法第67条)。育児時間を請求し、又は取得したことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません(均等法第9条第3項)。
2 生理日の就業が著しく困難な女性従業員が休暇を請求した場合、請求のあった期間は当該女性従業員を就業させてはなりません(労基法第68条)。なお、休暇は暦日単位のほか半日単位、時間単位でもあっても差し支えありません。

 

(育児・介護休業、子の看護休暇等)
第24条 従業員のうち必要のある者は、育児・介護休業法に基づく育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、育児のための所定外労働の免除、育児・介護のための時間外労働及び深夜業の制限並びに所定労働時間の短縮措置等(以下「育児・介護休業等」という。)の適用を受けることができる。
2 育児休業、介護休業等の取扱いについては、「育児・介護休業等に関する規則」で定める。

【第24条 育児・介護休業、子の看護休暇等】
1 育児・介護休業、子の看護休暇等に関する事項について、本規程例では就業規則本体とは別に定める形式をとっています。
「育児・介護休業等に関する規則」の規程例は、PDF版についてはPDF(全体版)、WORD版についてはWORD@(本文)、WORDA(社内様式)、WORDB(制度の概要)になります。
2 育児・介護休業、子の看護休暇等に関する事項について、就業規則本体と別に定めた場合、当該規程も就業規則の一部になりますので、所轄労働基準監督署長への届出が必要となります。

 

これらは、法令上の要請じゃから、このままでいいじゃろ。 
 

(慶弔休暇)
第25条 従業員が申請した場合は、次のとおり慶弔休暇を与える。
1 本人が結婚したとき                         日 
2 妻が出産したとき                          日
3 配偶者、子又は父母が死亡したとき                  日
4 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき      日

【第25条 慶弔休暇】
1 慶弔休暇については労基法上必ず定めなければならないものではありません。各事業場で必要な期間を具体的に定めてください。
 

 

年次有給休暇なんて甘っちょろいものはいらないけど、この慶弔休暇は必須よね。 

 

モモちゃんもいいところあるじゃん。

 

法的には不要ですが、いわば福利厚生的な意味合いとしては有効ですね。 

 

大企業の場合、こうした規定は必ずあるが、中小零細企業となると、導入は慎重にすべきかも知れんな。 年次有給休暇で十分かも知れん。 
  そうじゃな。 今は、見送ることにしよう。 
 

(裁判員等のための休暇)
第26条 従業員が裁判員若しくは補充裁判員となった場合又は裁判員候補者となった場合には、次のとおり休暇を与える。
1 裁判員又は補充裁判員となった場合        必要な日数
2 裁判員候補者となった場合            必要な時間

【第26条 裁判員等のための休暇】
1 平成21年度より施行されている裁判員制度に関し、従業員が裁判員若しくは補充裁判員となった場合又は裁判員候補者となった場合で、従業員からその職務に必要な時間を請求された場合、使用者はこれを拒んではなりません。このため、各事業場においては、裁判員等のための休暇を制度として導入することが求められます。
また、従業員が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと、その他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)第100条)。

 

原則として不要だわ。 仕事のほうが重要でしょ。 実際に呼び出しがあっても、拒否すればいいのよ。 でも、死刑事案だったら話は別。 わたしは必ず出るわ。 そして、必ず死刑にしてやるわ。 

 

やっぱり、モモちゃんは過激だった。 

 

まあ、年次有給休暇をあてれば済むとも言えるからね。 でも、会社が、年休を使え、とは言えません。 なお、日当が出ますが、これを不当利得として返還請求することはできません。

 

これも、慶弔休暇と同様の扱いにしてもいいかも知れんな。 
  そうじゃな。 一定の日当も出るわけじゃから、年休を取るか欠勤にするかは、当人の選択としよう。 
   第6章 賃金

本規程例と異なり、賃金に関する事項については、就業規則本体とは別に定めることもできます。その場合、別に定めた規程も就業規則の一部になりますので、所轄労働基準監督署長への届出が必要となります。

(賃金の構成)
第27条 賃金の構成は、次のとおりとする。       

  
        基本給
               家族手当
               通勤手当
賃金      手 当     役付手当
               技能・資格手当
               精勤手当
               時間外労働割増賃金
         割増賃金   休日労働割増賃金
              深夜労働割増賃金

【第27条 賃金の構成】
1 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項は、就業規則の絶対的記載事項に当たります。(労基法第89条)。

 

賃金は、基本給と通勤手当と割増賃金だけでいいわ。 基本給は、社長にお決めになっていただければ、それでいいわ。

 

ボクも同感だね。 

 

多くの零細企業では、そうした実態があります。 大きな会社には、細かい賃金規程があったりしますが、そうするとかえって硬直的になり、うちみたいな小さな会社には向いていません。 

      

そうじゃな。 今のところは、シンプルにしておこう。  
 

(基本給)
第28条 基本給は、本人の職務内容、技能、勤務成績、年齢等を考慮して各人別に決定する。

【第28条 基本給】
1 基本給は、職務内容や職務遂行能力等の職務に関する要素や勤続年数、年齢、資格、学歴等の属人的な要素等を考慮して、各事業場において公正に決めることが大切です。
2 基本給には、月給(1か月の所定労働時間に対して賃金額が決められているもの)、日給月給(定額賃金制の一形態で、月給を定め、欠勤した場合にその日数分だけの賃金を差し引くという形の月給制)、日給(1日の所定労働時間に対して賃金額が決められるもの)、時間給(労働時間1時間単位で賃金額が決められ、業務に従事した労働時間に応じて支給されるもの)等があります。
3 具体的な賃金を決めるに当たり、使用者は最低賃金法(昭和34年法律第137号)に基づき決定される最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
従業員に支払おうとする賃金又は支払っている賃金が最低賃金額以上となっているかについては、時間によって定められた賃金(以下「時間給」といいます。)の場合は、当該時間給を最低賃金額と比較することにより判断します。また、日、週又は月によって定められた賃金の場合は、当該金額を上記各期間における所定労働時間数で除した時間当たりの額と最低賃金額とを比較することにより判断します(最低賃金法第4条、最低賃金法施行規則第2条)。
 

 

『年齢等』は不要ね。 実力主義よ。

 

『能力』も入れて欲しいね。 なかなか成果は出せなくても、とても能力が高い人もいる。 大器晩成ってやつだよ。 

 

うちみたいな会社は、やっぱり成果主義でしょうね。 能力は、それを発揮してナンボってところでしょう。 

 

そうじゃな。 これはもう、完全に社長の考え次第じゃな。 
  うん。 規定はそのままでいいじゃろ。 わしが、基本給については合理的に決定する。 
   (家族手当)
第29条 家族手当は、次の家族を扶養している従業員に対し支給する。
@ 配偶者      月額     円 
A 18歳未満の子
    1人につき  月額     円
B 65歳以上の父母
    1人につき  月額     円

 

家族手当相当が欲しいなら、一所懸命働いて、成果を出すことね。 

 

配偶者って、愛人とかはどうなるの? 未婚の母のだんなは? 

 

子も連れ子だったり、養子だったり、いろいろ問題になりそうですね。 父母といっても、配偶者の父母や養親だったらどうするんだろう。 配偶者も子も父母も、それなりに収入を得ている可能性もありますし、細かい検討も必要ですね。 

 

そうじゃね。 昔の固定観念による、残り物って感じだね。 今の時代、不要かも知れん。 
  よし。 家族手当はなしじゃ。 
  (通勤手当)
第30条 通勤手当は、月額    円までの範囲内において、通勤に要する実費に相当する額を支給する。

 

徒歩や自転車でも足りるのに、わざわざ自動車・バイクで出勤する人もいるよね。 いっそのこと、やめちゃったら? 

 

距離に応じて決めればいいんじゃないの? 

 

交通機関も様々ですからね。 合理的な通勤方法・経路によって、支払うべきか否か、支払うとしていくら支払うべきか、仔細に検討すべきです。 

 

細かく見ていったら、なかなか決まらないかも知れんな。 非課税枠の問題もあるし。 
  よし。 とりあえず、『〜までの範囲内において、会社が必要と認める額を支給する。』としておこう。 
  (役付手当)
第31条 役付手当は、以下の職位にある者に対し支給する。
部長  月額      円
課長  月額      円
係長  月額      円
2 昇格によるときは、発令日の属する賃金月から支給する。この場合、当該賃金月においてそれまで属していた役付手当は支給しない。
3 降格によるときは、発令日の属する賃金月の次の賃金月から支給する。

 

うちみたいな、各プロジェクト単位で、リーダーを決めてるフラット組織の会社は、不要よね。  

 

代わりに、リーダー手当なんていうのも、いいんじゃない? 

 

この手当の目的は、時間外割増の不要な管理職の労務に対して、実質的に応えるため、と言うことになると思います。 うちも、いずれは検討が必要になってくるでしょう。 

 

これも、基本手当を決定する際の一様にすればいいかも知れんのぉ。
  よし。 役付手当もなしじゃ。 
  (技能・資格手当)
第32条 技能・資格手当は、次の資格を持ち、その職務に就く者に対し支給する。
安全・衛生管理者(安全衛生推進者を含む。)      月額      円
食品衛生責任者                                月額      円
調理師                                        月額      円
栄養士                                        月額      円

 

これも同じね。 

 

同感。 

 

そうですね。 将来の検討課題にすればいいでしょう。 

 

どうしますか? 社長。 
  よし。 これもなしじゃ。 
  (精勤手当)
第33条 精勤手当は、当該賃金計算期間における出勤成績により、次のとおり支給する。
1 無欠勤の場合       月額      円
2 欠勤1日以内の場合    月額      円
2 前項の精勤手当の計算においては、次のいずれかに該当するときは出勤したものとみなす。
1 年次有給休暇を取得したとき
2 業務上の負傷又は疾病により療養のため休業したとき
3 第1項の精勤手当の計算に当たっては、遅刻又は早退  回をもって、欠勤1日とみなす。

【第  条 以上各種手当】
1 諸手当に関しては、本規程例で示したもののほか住宅手当、職務手当、単身赴任手当、営業手当等を設ける事業場がありますが、どのような手当を設けるか、また、設けた諸手当の金額をいくらにするかについては、各事業場で決めることになります。

 

同じ。 

 

パス。 

 

将来の検討課題にすべきでしょう。 

 

さて。 
  これも、なしじゃ。 
 

(割増賃金)
第34条 時間外労働に対する割増賃金は、次の割増賃金率に基づき、次項の計算方法により支給する。
(1) 1か月の時間外労働の時間数に応じた割増賃金率は、次のとおりとする。この場合の1か月は毎月  日を起算日とする。
1 時間外労働45時間以下・・・25%
2 時間外労働45時間超〜60時間以下・・35%
3 時間外労働60時間超・・・・・50%
4 Bの時間外労働のうち代替休暇を取得した時間・・・35%(残り15%の割
増賃金は代替休暇に充当する。)
(2)1年間の時間外労働の時間数が360時間を超えた部分については、40%
とする。この場合の1年は毎年  月  日を起算日とする。
(3)時間外労働に対する割増賃金の計算において、上記(1)及び(2)のいずれ
にも該当する時間外労働の時間数については、いずれか高い率で計算することとする。

2 割増賃金は、次の算式により計算して支給する。
(1) 月給制の場合
1 時間外労働の割増賃金

(時間外労働が1か月45時間以下の部分)
  基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━×1.25×時間外労働の時間数
   1か月の平均所定労働時間数


(時間外労働が1か月45時間超〜60時間以下の部分)
  基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━×1.35×時間外労働の時間数
   1か月の平均所定労働時間数


(時間外労働が1か月60時間を超える部分)
  基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━×1.50×時間外労働の時間数
   1か月の平均所定労働時間数

(時間外労働が1年360時間を超える部分)
  基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━×1.40×時間外労働の時間数
   1か月の平均所定労働時間数

 


A 休日労働の割増賃金(法定休日に労働させた場合)
  基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━×1.35×休日労働の時間数
   1か月の平均所定労働時間数


B 深夜労働の割増賃金(午後10時から午前5時までの間に労働させた場合)
  基本給+役付手当+技能・資格手当+精勤手当
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━×0.25×深夜労働の時間数
   1か月の平均所定労働時間数


(2)日給制の場合
@ 時間外労働の割増賃金
(時間外労働が1か月45時間以下の部分)
                                    
         日給             役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   ━━━━━━━━━━━  + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     
     1日の所定労働時間数         1か月の平均所定労働時間数       
                                    
             × 1.25 × 時間外労働の時間数


(時間外労働が1か月45時間超〜60時間以下の部分)
                                   
         日給             役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   ━━━━━━━━━━━  + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     
     1日の所定労働時間数         1か月の平均所定労働時間数       
                                   
             × 1.35 × 時間外労働の時間数


(時間外労働が1か月60時間を超える部分)
                                    
         日給             役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   ━━━━━━━━━━━  + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     
     1日の所定労働時間数         1か月の平均所定労働時間数       
                                    
             × 1.50 × 時間外労働の時間数

 

(時間外労働が1年360時間を超える部分)
                                   
         日給             役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   ━━━━━━━━━━━  + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     
     1日の所定労働時間数         1か月の平均所定労働時間数       
                                   
             × 1.40 × 時間外労働の時間数

A 休日労働の割増賃金
                                   
         日給             役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   ━━━━━━━━━━━  + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     
     1日の所定労働時間数         1か月の平均所定労働時間数       
                                   
              × 1.35 × 休日労働の時間数


B 深夜労働の割増賃金
                                   
         日給             役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   ━━━━━━━━━━━  + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     
     1日の所定労働時間数         1か月の平均所定労働時間数       
                                   
              × 0.25 × 深夜労働の時間数


(3)時間給制の場合
@ 時間外労働の割増賃金
(時間外労働が1か月45時間以下の部分)
                            
            役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   時間給 + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                   
               1か月の平均所定労働時間数       
                            
         × 1.25 × 時間外労働の時間数


(時間外労働が1か月45時間超〜60時間以下の部分)
                            
            役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   時間給 + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                   
               1か月の平均所定労働時間数       
                            
         × 1.35 × 時間外労働の時間数


(時間外労働が1か月60時間を超える部分)
                            
            役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   時間給 + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                   
               1か月の平均所定労働時間数       
                            
         × 1.50 × 時間外労働の時間数


(時間外労働が1年360時間を超える部分)
                            
            役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   時間給 + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                   
               1か月の平均所定労働時間数       
                            
         × 1.40 × 時間外労働の時間数


A 休日労働の割増賃金
                            
            役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   時間給 + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                   
               1か月の平均所定労働時間数       
                            
         × 1.35 × 休日労働の時間数


3 深夜労働の割増賃金
                           
            役付手当+技能・資格手当+精勤手当 
   時間給 + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                   
               1か月の平均所定労働時間数       
                           
         × 0.25 × 深夜労働の時間数


3 前項の1か月の平均所定労働時間数は、次の算式により計算する。
   (365−年間所定休日日数)×1日の所定労働時間
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
                  12

 

【第34条 割増賃金】
1 法定労働時間を超えて労働させた場合には2割5分以上、法定休日(週1回又は4週4日)に労働させた場合には3割5分以上、深夜(午後10時から午前5時までの間)に労働させた場合には2割5分以上の割増率で計算した割増賃金をそれぞれ支払わなければなりません(労基法第37条第1項・第4項)。
  なお、時間外労働が深夜に及んだ場合には5割以上、休日労働が深夜に及んだ場合には6割以上の割増率で計算した割増賃金をそれぞれ支払わなければなりません。
2 会社の定める所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合、所定労働時間を超えて法定労働時間に達するまでの時間分については、労基法を上回る措置として割増賃金を支払う契約となっていない限り、通常の労働時間の賃金を支払えばよいこととなります。
3 月給制の場合の割増賃金の計算の基礎となる1時間当たりの賃金は、基本給と手当(本規程例の場合、役付手当、技能・資格手当及び精勤手当が該当します。家族手当や通勤手当等割増賃金の算定基礎から除外することができる手当は除きます。)の合計を、1か月における所定労働時間数(ただし、月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1か月の平均所定労働時間数)で除して算出します。また、時間給の場合は、時間額が1時間当たりの賃金となります(労基法施行規則第19条)。

4 割増賃金の算定基礎から除外することができる賃金には、家族手当や通勤手当のほか、別居手当、子女教育手当、住宅手当、退職金等臨時に支払われた賃金、賞与等1か月を超える期間ごとに支払われる賃金があります(労基法第37条第5項、同法施行規則第21条)が、これらの手当を除外するに当たっては、単に名称によるのでなく、その実質によって判断しなければなりません。
5 労基法第41条第2号に定める「監督又は管理の地位にある者」(以下「管理監督者」といいます。)については、同条によって労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しないとされている一方、深夜労働に関する規定の適用は排除されていません。このため、時間外労働又は休日労働の割増賃金の支払の問題は生じませんが、深夜労働については割増賃金を支払わなければなりません。
6 労基法の改正により、平成22年4月1日から、月60時間を超える時間外労働の割増率については、従来の2割5分以上から5割以上に引き上げられました。ただし、中小企業については、当面の間この法定割増率の引上げは猶予されています。
適用が猶予される中小企業に該当するか否かについては、「出資金の額又は出資の総額」と「常時使用する従業員の数」で判断されます。社会福祉法人等で資本金や出資金の概念がない場合には、従業員数のみで判断することとなります。


【適用が猶予される中小企業】
業種
資本金の額または出資の総額
常時使用する従業員の数

小売業 5,000万円以下 又は 50人以下
サービス業 5,000万円以下 又は 100人以下
卸売業 1億円以下 又は 100人以下
その他 3億円以下 又は 300人以下

また、中小企業にも時間外労働の限度基準は適用されますので、特別条項付き三六協定を結ぶ際に、特別の事情のもとに限度時間を超えて時間外労働させる場合の当該限度時間を超える時間外労働に係る割増率を定めた場合には、これを就業規則に盛り込まなければなりません。
なお、1か月60時間の算定には、法定休日に労働した時間数は含まれませんが、法定外の休日に行った労働における時間外労働の時間数は含まれます。

 

これもパス。 

 

なに考えてんのよ。 とりあえず、法律どおりでいいわよ。 でも、出来が悪くて遅くまで残っている従業員もいるんだから、基本給でコントロールすればいいのよ。 

 

モモちゃんの考え方で、いいのではないでしょうか? 

 

今のところは、モデルどおりでいいでしょう。 ただし、時間外労働は法定労働時間外労働、休日労働は法定休日労働と、決めておいたほうがいいでしょう。 
  よし。 そういうことで。 
  (1年単位の変形労働時間制に関する賃金の精算)
第35条 1年単位の変形労働時間制の規定(第16条及び第17条)により労働させた期間が当該対象期間より短い従業員に対しては、その従業員が労働した期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた時間(前条の規定による割増賃金を支払った時間を除く。)については、前条の時間外労働についての割増賃金の算式中の割増率を0.25として計算した割増賃金を支払う。

【第35条 1年単位の変形労働時間制に関する賃金の精算】
1 1年単位の変形労働時間制を採用している事業場において、入社等により対象期間の途中から対象となった従業員や退職等により対象期間の途中で対象でなくなった従業員がいる場合であって、当該従業員に対し、対象期間中実際に労働させた期間を平均して1週40時間を超えて労働させた場合、1週40時間を超えて働かせた分について割増賃金を支払わなければなりません。

 

うちの場合は、変形労働時間制はいらないわね。 

 

なんだか分からないから、パス。 

 

1年変形は、季節毎に繁閑の差があって、日々の労働時間を、少なくとも月の初めの30日前までに決められるのであれば、有効です。  振替等で、カレンダー上、一度でも40時間を超えてしまう週があるとき等も有効です。

 

そうじゃな。 これを導入するか否かは、また導入するとしてどのようにするかは、まだ先に検討すべきことかも知れんな。 
  よし。 とりあえず、なしにしよう。 
  (代替休暇)
第36条 1か月の時間外労働が60時間を超えた従業員に対して、労使協定に基づき、次により代替休暇を与えるものとする。
2 代替休暇を取得できる期間は、直前の賃金締切日の翌日から起算して、翌々月の賃
 金締切日までの2  か月とする。
3 代替休暇は、半日又は1日で与える。この場合の半日とは、
午前(   :   〜   :   )又は午後(   :   〜   :   )のことをいう。
4 代替休暇の時間数は、1か月60時間を超える時間外労働時間数に換算率を乗じた時間数とする。この場合において、換算率とは、代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率50%から代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率35 %を差し引いた15%とする。また、従業員が代替休暇を取得した場合は、取得した時間数を換算率(15%)で除した時間数については、15%の割増賃金の支払を要しないこととする。
5 代替休暇の時間数が半日又は1日に満たない端数がある場合には、その満たない部分についても有給の休暇とし、半日又は1日の休暇として与えることができる。ただし、前項の割増賃金の支払を要しないこととなる時間の計算においては、代替休暇の時間数を上回って休暇とした部分は算定せず、代替休暇の時間数のみで計算することとする。
6 代替休暇を取得しようとする者は、1か月に60時間を超える時間外労働を行った月の賃金締切日の翌日から5 日以内に、会社に申し出ることとする。代替休暇取得日は、従業員の意向を踏まえ決定することとする。
7 会社は、前項の申出があった場合には、支払うべき割増賃金額のうち代替休暇に代替される割増賃金額を除いた部分を通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、当該月の末日の翌日から2 か月以内に取得がなされなかった場合には、取得がなされないことが確定した月に係る割増賃金支払日に残りの15%の割増賃金を支払うこととする。
8 会社は、第6項に定める期間内に申出がなかった場合は、当該月に行われた時間外労働に係る割増賃金の総額を通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、第6項に定める期間内に申出を行わなかった従業員から、第1項に定める代替休暇を取得できる期間内に改めて代替休暇の取得の申出があった場合には、会社の承認により、代替休暇を与えることができる。この場合、代替休暇の取得があった月に係る賃金支払日に過払分の賃金を精算するものとする。

【第36条 代替休暇】
1 特に長い時間外労働を抑制することを目的として、1か月に60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が50%以上とされていますが、やむを得ずこれを超える時間外労働を行わざるを得ない場合も考えられます。
このため、そのような従業員の健康を確保する観点から、平成22年4月1日より1か月に60時間を超えて時間外労働を行わせた従業員について、労使協定により、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができることとしたものです。
2 労基法第37条第3項の休暇(以下「代替休暇」といいます。)を実施する場合には、事業場において労使協定を締結する必要があります。この労使協定は、個々の従業員に対して代替休暇の取得を義務付けるものではありません。労使協定が締結されている事業場において、個々の従業員が実際に代替休暇を取得するか否かは、従業員の意思によります。
また、代替休暇の制度を設ける場合には、代替休暇に関する事項は労基法第89条の「休暇」に関する事項ですので、就業規則に記載する必要があります。
3 代替休暇を与える場合には、労使協定で次の事項を定める必要があります。
(1) 代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法
代替休暇として与えることができる時間数の具体的な算定方法は、
@1か月について60時間を超えて時間外労働をさせた時間数に、
  A(ア)従業員が代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率と(イ)労動
者が代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率との差に相当する率(以下「換算率」という。)
  を乗じるものとされています。(図1参照)


(図1)

            
            =            −60  ×        

 

        
       =               −

 


労使協定では、この算定方法にしたがって具体的に定める必要があります。
また、上記(ア)従業員が代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率は5割以上の率とする必要があり、上記(イ)従業員が代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率は2割5分以上の率とする必要があります。これらは、いずれも就業規則の絶対的必要記載事項である「賃金の決定、計算及び支払の方法」に当たることから、就業規則に記載しなければなりません。
(2)代替休暇の単位
代替休暇の単位は、代替休暇はまとまった単位で与えることによって従業員の休息の機会とする観点から、1日又は半日とされており、労使協定には、その一方又は両方を代替休暇の単位として定める必要があります。ここでいう「1日」とは、従業員の1日の所定労働時間をいい、「半日」とはその二分の一をいいますが、「半日」については、必ずしも厳密に1日の所定労働時間の二分の一とする必要はありません。しかし、その場合には、労使協定で当該事業場における「半日」の定義を定めておくことが必要です。
(3)代替休暇を与えることができる期間
代替休暇を与えることができる期間については、時間外労働が1か月に60時間を超えたその月の末日の翌日から2か月以内とされており、労使協定では、この範囲内で期間を定める必要があります。
(4)代替休暇の取得日及び割増賃金の支払日
代替休暇の労使協定については、上記(1)から(3)までの事項を必ず定める必要があります(労基法施行規則第19条の2)が、このほか労使協定で定めるべきものとしては、次のものが考えられます。
@ 従業員の意向を踏まえた代替休暇の取得日の決定方法
例えば、月末から5日以内に使用者が従業員に代替休暇を取得するか否かを確
              認し、取得の意向がある場合には取得日を決定するというように、取得日の決定
の方法について協定しておきましょう。
ただし、代替休暇を取得するかどうかは、従業員の意思に委ねられていますので、代替休暇の取得日は、従業員の意向を踏まえたものとしなければなりません。
2 1か月について60時間を超える時間外労働の割増賃金の支払日
1か月に60時間を超える時間外労働の割増賃金の支払日については、従業員の代替休暇の取得の意向に応じて、次のようになります。(図2参照)
(a)従業員に代替休暇の取得の意向がある場合は、支払義務がある割増
賃金(労基法第37条により2割5分以上の率で計算した割増賃金)について、その割増賃金が発生した賃金計算期間の賃金支払日に支払うことが必要です。
なお、代替休暇の取得の意向があった従業員が、実際には代替休暇を取得しなかったときには、労基法第37条による1か月の時間外労働時間数が60時間を超えたときから追加的に支払われる割増賃金について、従業員が代替休暇を取得しないことが確定した賃金計算期間の賃金支払日に支払う必要があります。(下記4参照)
(b)(a)以外の場合、すなわち従業員に代替休暇の取得の意向がない場合や
従業員の意向が確認できない場合には、法定割増賃金率の引上げ分も含めた割増賃金(労基法第37条により5割以上の率で計算した割増賃金)について、その割増賃金が発生した賃金計算期間の賃金支払日に支払うことが必要です。
なお、法定割増賃金率の引上げ分も含めた割増賃金が支払われた後に、従業員から代替休暇の取得の意向があった場合には、代替休暇を与えることができる期間として労使協定で定めた期間内であっても、従業員は代替休暇を取得できないこととする旨労使協定で定めても差し支えありません。
このような、法定割増賃金率の引上げ分も含めた割増賃金が支払われた後に従業員から代替休暇取得の意向があった場合について、
・代替休暇を与えることができる期間として労使協定で定めた期間内であれば従業員は代替休暇を取得できることとし、
・従業員が実際に代替休暇を取得したときは既に支払われた法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金について精算することとすること
を労使協定で定めることも可能です。


(図2)


(a)従業員に代替休暇取得の意向がある場合

 


(b)(a)以外の場合(従業員に代替休暇取得の意向がない場合や従業員の意向が確認できない場合等)

 

 

4 法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が不要となる時間
代替休暇は、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払に代えて与えられるものであることから、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が不要となる時間は、1か月に60時間を超える時間外労働のうち従業員が取得した代替休暇に対応する時間の労働となります。具体的には、従業員が取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数のことを指します。したがって、代替休暇の取得の意向があった従業員が実際には代替休暇を取得しなかったときには、取得しなかった代替休暇に対応する時間の労働については、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が必要となります。
5 代替休暇と年次有給休暇との関係
代替休暇は、年次有給休暇とは異なるものです。 また、従業員が代替休暇を取得して終日出勤しなかった日については、正当な手続により従業員が労働義務を免除された日であることから、年次有給休暇の算定の基礎となる全労働日に含まれません。

 

… 

 

… 

 

これも、経過措置が取られていて、うちの会社は適用外です。 

 

そうじゃね。 
  よし。 先に行こう。 
   (休暇等の賃金)
第37条 年次有給休暇の期間は、所定労働時間労働したときに支払われる通常の賃金を支払う。
2 産前産後の休業期間、育児時間、生理休暇、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間及び子の看護休暇期間、裁判員等のための休暇の期間は、無給 / 通常の賃金を支払うこととする。
3 第9条に定める休職期間中は、原則として賃金を支給しない(  か月までは  割を支給する)。

【第37条 休暇等の賃金】
1 年次有給休暇を付与した場合は、@平均賃金、A所定労働時間働いたときに支払われる通常の賃金、B健康保険法第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額(ただし、Bについては従業員代表との書面による協定が必要です。)のいずれかの方法で支払わなければなりません。また、これらのうち、いずれの方法で支払うのかを就業規則等に定めなければなりません(労基法第39条第7項)。
2 産前産後の休業期間、育児時間、生理休暇、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間及び子の看護休暇期間、裁判員等のための休暇の期間、慶弔休暇、休職の期間を無給とするか有給とするかについては、各事業場において決め、就業規則に定めてください。
また、有給とする場合は、例えば「通常の賃金を支払う」、「基本給の○○%を支払う」とするなど、できるだけ具体的に定めてください。

 

年休の賃金は、通常の賃金の半額ね。 

 

第2項と第3項は、個別に見ていくべきかな… 

 

なんだぁ、タクヤ。 随分、慎重ですね。 会社都合による休業でもありませんから、ノーワーク・ノーペイの原則でいけますよ。 ただ、モモちゃん。 通常の賃金の半額では、違法になってしまいます。 

 

そうじゃな。 会社都合ともいえる休職・休業でもなければ、無給でもよかろう。 もっとも、通常の会社じゃと、月給制の場合は、課長以上の管理職であれば特に控除なし、課長未満であれば控除したりするのだが。 
  よし。 法律どおりってことにしよう。 月給制なら控除、時給・日給制なら無給じゃ。 
  (臨時休業の賃金)
第38条 会社側の都合により、所定労働日に従業員を休業させた場合は、休業1日につき労基法第12条に規定する平均賃金の6割を支給する。ただし、1日のうちの一部を休業させた場合にあっては、その日の賃金については労基法第26条に定めるところにより、平均賃金の6割に相当する賃金を保障する。

【第38条 臨時休業の賃金】
1 会社側の都合(使用者の責に帰すべき事由)により、所定労働日に従業員を休業させる場合には、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません(労基法第26条)。
また、1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責めに帰すべき事由により休業させた場合についても、現実に就労した時間に対して支払われる賃金がその日1日分の平均賃金の60%に満たないときは、その差額を支払わなければなりません。

 

法律どおりでいいんじゃないの? 

 

よくわかんないけど、ボクは法律違反ということでなければ、それでいいよ。 

 

会社側の都合に該当するか否かの判断が重要です。 

 

そうじゃな。 会社都合か否かは、その都度慎重に判断すべきでしょうな。 
  よし。 じゃあ、規定としてはこのまま、ということで。 
 

(欠勤等の扱い)
第39条 欠勤、遅刻、早退及び私用外出については、基本給から当該日数又は時間分の賃金を控除する。
2 前項の場合、控除すべき賃金の計算は以下のとおりとする。
(1)月給の場合
   基本給÷1か月平均所定労働時間数
   (1か月平均所定労働時間数は第34条第3項の算式により計算する。)
(2)日給の場合
   基本給÷1日の所定労働時間数

【第39条 欠勤等の扱い】
1 従業員が欠勤、遅刻、早退等をした結果労働しなかった日及び時間については、賃金を支払う必要はありませんので、使用者はその日数及び時間数に応じて賃金を減額することも可能です。 

 

これはもう、倍満カットね。 

 

異議なし。 

 

倍満カットとなると、半分は制裁の規定によらなければなりません。 

 

そうじゃな。 ここでは、この程度の記述でいいじゃろう。 
  よし。 このまま使おう。 
 

(賃金の計算期間及び支払日)
第40条 賃金は、毎月  日に締め切って計算し、翌月  日に支払う。ただし、支払日が休日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う。
2 前項の計算期間の中途で採用された従業員又は退職した従業員については、月額の賃金は当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。

【第40条 賃金の計算期間及び支払日】
1 賃金は、毎月1回以上、一定の支払日を定めて支払うことが必要です(労基法第24条第2項)。 

 

第1項の繰上げは、つらいんですけど… 

 

第2項については、所定労働日が多い月は一単位が小さくなるし、少ない月は大きくなるね。 

 

タクヤ。 冴えてるジャン。 ちなみに、第1項は繰り下げでもOKです。 

 

そうじゃな。 第2項は、年間の月平均所定労働日数とすることもできるだろうが、そうすると、計算上マイナスになったり、おかしな結果となることもある。 
  よし。 20日〆の25日払いだから、その間に休みが入ったら、モモちゃんも大変だ。 第1項は、繰り下げにしよう。 第2項は、このまま行こう。 
 

(賃金の支払と控除)
第41条 賃金は、従業員に対し、通貨で直接その全額を支払う。
2 前項について、従業員が同意した場合は、従業員本人の指定する金融機関の預貯金口座又は証券総合口座へ振込により賃金を支払う。
3 次に掲げるものは、賃金から控除する。
1 源泉所得税
2 住民税
3 健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
4 従業員代表との書面による協定により賃金から控除することとした社宅入居 
料、財形貯蓄の積立金及び組合費

【第41条 賃金の支払と控除】
1 賃金は、通貨で、直接従業員にその全額を支払わなければなりません(労基法第24条第1項)。ただし、所得税や住民税等法令に基づき従業員が負担すべきものについては、賃金から控除することができます。また、従業員代表と書面で協定し、賃金から控除することができるとしたものも控除できます(労基法第24条第1項)。ただし、従業員代表との協定によって賃金から控除できるものは、購買代金、住宅・寮その他の福利厚生施設の費用、各種生命・損害保険の保険料、組合費等内容が明白なものに限ります。
2 賃金は、直接従業員に支払うことが原則です。しかし、従業員が同意した場合は、従業員本人の指定する銀行等の金融機関の本人名義の口座に振り込むことが認められています(労基法施行規則第7条の2)。 

 

これでいいんじゃないの? 

 

異議なし。 

 

特段、問題となることはないようですね。 

 

社長。 
  よし。 このままで行こう。 
 

(賃金の非常時払い)
第42条 従業員又はその収入によって生計を維持する者が、次のいずれかの場合に該当し、そのために従業員から請求があったときは、賃金支払日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払う。
1 やむを得ない事由によって1週間以上帰郷する場合
2 結婚又は死亡の場合
3 出産、疾病又は災害の場合
4 退職又は解雇により離職した場合

【第42条 賃金の非常時払い】
1 本条は、従業員又はその収入によって生計を維持する者に出産、疾病、災害等の臨時の出費を必要とする事情が生じた場合に、当該従業員は賃金支払日前であっても既往の労働に対する賃金の払いを請求できることとしたものです(労基法第25条)。 

 

これも、法律で決まってるのね。 

 

ボク、そんなにお金に困ることないから、なんでもいいや。 

 

やれやれ… まったく、お坊ちゃま君は… 

 

社長。 
  よし。 このままで行こう。 
 

(昇給)
第43条 昇給は、勤務成績その他が良好な従業員について、毎年  月  日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある。
2 顕著な業績が認められた従業員については、前項の規定にかかわらず昇給を行うことがある。
3 昇給額は、従業員の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。

【第43条 昇給】
1 昇給に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項に当たりますので、昇給期間等昇給の条件を定める必要があります。

 

昇給なんて、うちには関係ないわよ。 あくまで、成果主義よ。 

 

でも、昇給があったほうが、やる気にはつながるよな。 

 

法律上の要請ですので、必ず規定しなければなりません。 

 

そうじゃな。 絶対的必要記載事項ということじゃ。
  だけども、今の時代、降給ってこともあるじゃろ。 日本中、一部を除いて、どこもかしこも賃金ダウンばかりじゃ。 賃金の改定、ってことにしよう。 
 

(賞与)
第44条 賞与は、原則として、下記の算定対象期間に在籍した従業員に対し、会社の業績等を勘案して下記の支給日に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。

算定対象期間
支給日
  月  日から  月  日まで
  月  日
  月  日から  月  日まで
  月  日

2 前項の賞与の額は、会社の業績及び従業員の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。

【第44条 賞与】
1 賞与は、労基法その他の法律によって設けることが義務付けられているものではありません。しかし、賞与を支給する場合、就業規則に支給対象時期、賞与の算定基準、査定期間、支払方法等を明確にしておくことが必要です。
2 就業規則に、賞与の支給対象者を一定の日(例えば、6月1日や12月1日、又は賞与支給日)に在籍した者とする規定を設けることで、期間の途中で退職等し、その日に在職しない者には支給しないこととすることも可能です。 

 

中途退職の場合、支給しない、ということは問題でしょう。 日割り計算すべきです。 

 

同感。 

 

説明書きのとおり、違法ではありません。 でも、確かに不公平、って感じはします。 

 

社長。 
  よし。 在籍日要件そのものは入れることにしよう。 そうしたレアケースの場合は、支給額については、その都度わしが決定する。 
 

第7章 定年、退職及び解雇

退職に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項に当たります。そして、労基法第89条の退職に関する事項とは、任意退職、解雇、契約期間の満了による退職等従業員がその身分を失うすべての場合に関する事項をいうと解されています。

[例1] 定年を満65歳とする例
(定年等)
第45条 従業員の定年は、満65歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。


[例2]定年を満60歳とし、その後希望者を再雇用する例
(定年等)
第45条 従業員の定年は、満60歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。
2 前項の規定にかかわらず、定年後も引き続き雇用されることを希望し、会社が従業員の代表と締結した定年後の継続雇用に関する労使協定により定めた基準に該当する従業員については、満65歳までこれを継続雇用する。

【第45条 定年等】
1 定年とは、従業員が一定の年齢に達したことを退職の理由とする制度をいいます。
2 従業員の定年を定める場合は、定年年齢は60歳を下回ることはできません(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)第8条)。
3 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条において、事業主には65歳までの高年齢者雇用確保措置が義務付けられています。したがって、定年(65歳未満のものに限る。)の定めをしている事業主は、@定年の引上げ、A継続雇用制度の導入及びB定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければなりません。
また、雇用確保措置を講じなければならない年齢は、年金の支給開始年齢の引上げにあわせて平成25年4月1日までに段階的に引き上げられており、平成22年4月1日から平成25年3月31日までは64歳、それ以降は65歳です。
4 定年について、従業員の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません(均等法第6条)。
 

 

うちは、もうじき60歳になる社長を除けば、みんな若くて、40歳未満。 なんで、適当に決めておけばいいんじゃない? 

 

その言い方って、社長に失礼じゃないの? 

 

社長は、あと40年は間違いなく社長のままですよ。 僕たちも、その頃には、60歳を超えちゃいますよ。 まじめに検討しましょう。 

 

そうじゃな。 65歳までの再雇用・継続雇用は、希望者全員ってことが義務化されるじゃろうな。 定年そのものが引き上げられることにもなるじゃろう。  
  まあ、今のところは、モデルの規定どおりにしておこう。 労使協定が必要、ってことじゃな。 
 

(退職)
第46条 前条に定めるもののほか、従業員が次のいずれかに該当するときは、退職とする。 
1 退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して14日を経過した
とき
2 期間を定めて雇用されている場合、その期間を満了したとき
3 第9条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき
4 死亡したとき
2 従業員が退職し、又は解雇された場合、その請求に基づき、使用期間、業務の種類、地位、賃金又は退職の事由を記載した証明書を遅滞なく交付する。

【第46条 退職】
1 期間の定めのない雇用の場合、従業員はいつでも退職を申し出ることができます。また、会社の承認がなくても、民法(明治29年法律第89号)の規定により退職の申出をした日から起算して14日を経過したときは、退職となります(民法第627条第1項)。
なお、月給者の場合、月末に退職を希望するときは当月の前半に、また、賃金締切日が20日でその日に退職したいときは20日以前1か月間の前半に退職の申出をする必要があります(民法第627条第2項)。
2 期間を定めた契約が反復更新され、従業員が期間満了後も引き続き同一の条件で雇用されることを期待する合理的な理由がある場合のほか、実質的に期間の定めのない労働関係と認められる場合に使用者が更新の拒絶をすると、解雇として扱われ、様々な制約を受けることがありますので注意してください。
3 従業員から使用期間、業務の種類、その事業での地位、賃金又は退職事由(解雇の場合は、その理由を含む。)について証明書を求められた場合、使用者は求められた事項について証明書を交付する義務があります(労基法第22条第1項)。
 

 

やる気をなくしたとき、成果が出せないとき、というのも、ここに入れておくべきね。

 

それは、自分が辞める原因としたときだから、別にここに入れる必要はないよ。 

 

そうですね。 会社が、これはもう無理、と判断したときは、解雇すればいいわけですから。
もし、ここに入れるとしたら、『やる気をなくしたとき、または成果が出せないときは、退職を願い出たものとみなす。』とでもなるのでしょうが、思いっきり脱法行為となるでしょうね。 ほとんど、解雇と同じです。

 

そうじゃな。 かなり無理がありますな。 
  よし。 このままにしておこう。 
 

(解雇)
第47条 従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
1 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし
得ないとき。
2 勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転
 換できない等就業に適さないとき。
3 業務上の負傷又は疾病による療養の開始後3年を経過しても当該負傷又は疾病
が治らない場合であって、従業員が傷病補償年金を受けているとき又は受けることとなったとき(会社が打ち切り補償を支払ったときを含む。)。
4 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
5 試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、従業員として不適格
であると認められたとき。
6 第59条第2項に定める懲戒解雇事由に該当する事実が認められたとき。
7 事業の運営上又は天災事変その他これに準ずるやむを得ない事由により、事業
の縮小又は部門の閉鎖等を行う必要が生じ、かつ他の職務への転換が困難なとき。
8 その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき。
2 前項の規定により従業員を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をする。予告しないときは、平均賃金の30日分以上の手当を解雇予告手当として支払う。ただし、予告の日数については、解雇予告手当を支払った日数だけ短縮することができる。
3 前項の規定は、労働基準監督署長の認定を受けて従業員を第58条に定める懲戒解雇する場合又は次の各号のいずれかに該当する従業員を解雇する場合は適用しない。
1  日々雇い入れられる従業員(ただし、1か月を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
2  2か月以内の期間を定めて使用する従業員(ただし、その期間を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
3  試用期間中の従業員(ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
4 第1項の規定による従業員の解雇に際して従業員から請求のあった場合は、解雇の理由を記載した証明書を交付する。

【第47条 解雇】
1 労基法第89条第3号に定める「退職に関する事項」は、就業規則の絶対的必要記載事項ですから、就業規則に必ず規定しなければなりません。
2 労基法第89条には、就業規則に規定する解雇の事由について特段の制限はありません。しかし、契約法第16条において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。
  また、労基法をはじめ様々な法律で解雇が禁止される場合が定められています。就業規則に解雇の事由を定めるに当たっては、これらの法律の規定に抵触しないようにしなければなりません。


※ 解雇が禁止されている場合
1 従業員の国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労基法第3条)。
2 従業員の性別を理由とする解雇(均等法第6条)。
3 従業員の業務上の負傷、疾病による休業期間とその後30日間及び産前産後の休
業の期間(産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内又は産後8週間以内の女性が休業する期間)とその後30日間の解雇(労基法第19条)。
4 従業員が労働基準監督機関に申告したことを理由とする解雇(労基法第104   
条、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第97条)。
5 女性従業員が婚姻したこと、妊娠・出産したこと等を理由とする解雇(均等法第
9条第2項、第3項)。また、女性従業員の妊娠中又は産後1年以内になされた解雇は、事業主が妊娠等を理由とする解雇でないことを証明しない限り無効とされています(均等法第9条第4項)。
6 従業員が、個別労働紛争に関し、都道府県労働局長にその解決の援助を求めたこ
とを理由とする解雇(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成13年法律第112号)第4条)。
7 従業員が、均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に係る個別労
働紛争に関し、都道府県労働局長に、その解決の援助を求めたり、調停の申請をしたことを理由とする解雇(均等法第17条第2項、第18条第2項、育児・介護休業法第52条の4第2項、第52条の5第2項、パートタイム労働法第21条第2項、第22条第2項)。
8 従業員が育児・介護休業等の申出をしたこと、又は育児・介護休業等をしたこと
を理由とする解雇(育児・介護休業法第10条、第16条、第16条の4、第16条の7、第16条の9、第18条の2、第20条の2、第23条の2)。
9 従業員が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、又はこれを結成しよ
うとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇(労働組合法(昭和24年法律第174号)第7条)
10 公益通報をしたことを理由とする解雇(公益通報者保護法(平成16年法律第1
22号)第3条) 等

なお、Bについては、業務上の事由による負傷、疾病の従業員が療養開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合(又はその日以降、同年金を受けることになった場合)又は天災事変その他やむを得ない事由によって事業の継続が不可能となったときで事前に労働基準監督署長の認定を受けた場合は、解雇の制限がありません。
3 従業員を解雇するときは、原則として少なくとも30日前に予告するか、又は平均賃
金の30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要です(労基法第20条第1項)。
ただし、
1 日々雇入れられる者(1ヶ月を超えた者を除く。)
2 2か月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えた者を除く。)
3 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えた者を 
除く。)
4 試の使用期間中の者(14日を超えた者を除く。)
には予告する必要はありません。
  また、下記の(イ)又は(ロ)の場合であって、所轄労働基準監督署長の認定を受けたときも解雇の予告は必要ありません。
 (イ)天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能となるとき
    例:火災による焼失、地震による倒壊など
 (ロ)労働者の責に帰すべき事由によって解雇するとき                         
例:横領・傷害、2週間以上の無断欠勤など
また、解雇予告の日数は平均賃金を支払った日数だけ短縮することができます(労基 
法第20条第2項)。
4 使用者は、従業員を解雇するに際し、解雇された従業員から解雇の理由を記載した証明書の交付を請求された場合、遅滞なく当該理由を記載した証明書の交付をしなければなりません(労基法第22条第1項)。
また、解雇予告の日から当該解雇による退職の日までに、解雇を予告された従業員から解雇の理由を記載した証明書の交付を請求された場合は、遅滞なく、当該理由を記載した証明書の交付をしなければなりません(労基法第22条第2項)。 

 

しょうがない。 やる気をなくしたとき、成果が出せないとき、はこの解雇ってことで。

 

随分乱暴だな。 まずは、本人の釈明を求めるべきだよ。 

 

タクヤの言うとおりです。 もしもめて、裁判沙汰になったりしたら、会社は間違いなく負けます。
まずは、本人の釈明を聞いて、その上で退職勧奨を経た上で、解雇すべきです。 

 

そうじゃな。 慎重な対応が必要じゃ。 
  よし。 カタキチの言っているプロセスを経ることにしよう。 規定そのものは、これでいいじゃろう。 
  第8章 退職金

(退職金の支給)
第48条 勤続  年以上の従業員が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続  年未満の者には退職金を支給しない。また、第59条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。
2 継続雇用制度の対象者については、定年時に退職金を支給することとし、その後の再雇用については退職金を支給しない。

【第48条 退職金の支給】
1 退職金制度は必ず設けなければならないものではありませんが、設けたときは、適用される従業員の範囲、退職金の支給要件、額の計算及び支払の方法、支払の時期などを就業規則に記載しなければなりません。 

 

退職金って、よくわかりません。 そうしたお金があるんだったら、毎月の賃金で還元すべきです。 老後の保障ってことでしょうけど、わたしが運用します。

 

だったら、確定拠出型企業年金を利用できます。 

 

個人年金でもいいでしょう。 今や、誰もあてにはできません。 自己責任の原則で行きましょう。 

 

社長。 
  よし。 中退共にしよう。 わしも、検討していたんだ。 
 

(退職金の額)
第49条 退職金の額は、退職又は解雇の時の基本給の額に、勤続年数に応じて定めた下表の支給率を乗じた金額とする。


勤続年数 支給率
5年未満 1.0
5年〜10年 3.0
10年〜15年 5.0
15年〜20年 7.0
20年〜25年 10.0
25年〜30年 15.0
35年〜40年 20.0
40年〜 25.0

2 第9条により休職する期間については、会社の都合による場合を除き、前項の勤続年数に算入しない。

【第49条 退職金の額】
1 本規程例では、退職金の額の算定は、退職又は解雇の時の基本給と勤続年数に応じて算出する例を示していますが、会社に対する功績の度合い等も考慮して決定する方法も考えられることから、各企業の実情に応じて決めてください。
 

 

中退共ということだと、積立額と給付額は、自ずと決まっていますよね。 

 

そのとおり。 

 

規定的には、中退共用のがありますので、それを使いましょう。 

 

そうですな。 
  額はわしがこれから決める。 規定は、カタキチに任せよう。 
 

(退職金の支払方法及び支払時期)
第50条 退職金は、支給事由の生じた日から  か月以内に、退職した従業員(死亡による退職の場合はその遺族)に対して支払う。

【第50条 退職金の支払方法及び支払時期】
1 退職金の支払方法、支払時期については、各企業が実情に応じて定めることになります。
従業員が死亡した場合の退職金の支払については、別段の定めがない場合には遺産相続人に支払うものと解されます。
2 従業員の同意がある場合には、本人が指定する銀行その他の金融機関の口座へ振込により支払うことができます。また、銀行その他の金融機関が支払保証した小切手、郵便為替等により支払うこともできます。
3 退職金制度を設けたときは、退職金の支払に充てるべき額について金融機関と保証契約を締結する等の方法により保全措置を講ずるよう努めなければなりません(賃金の支払の確保等に関する法律(昭和51年法律第34号)第5条)。ただし、中小企業退職金共済制度や特定退職金共済制度に加入している場合はその必要はありません。
 

 

パス。 

 

異議なし。 

 

規定作りは、わたしがたまわりました。 

 

いいでしょう。 
  よし。 
  第9章 安全衛生及び災害補償

安全衛生及び災害補償に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項に当たりますのでこれらの定めをする場合には、必ず就業規則に記載しなければなりません。

(遵守事項)
第51条 会社は、従業員の安全衛生の確保及び改善を図り、快適な職場の形成のために必要な措置を講ずる。
2 従業員は、安全衛生に関する法令及び会社の指示を守り、会社と協力して労働災害の防止に努めなければならない。
3 従業員は安全衛生の確保のため、特に下記の事項を遵守しなければならない。
1 機械設備、工具等の就業前点検を徹底すること。また、異常を認めたときは、
速やかに会社に報告し、指示に従うこと。
2 安全装置を取り外したり、その効力を失わせるようなことはしないこと。
3 保護具の着用が必要な作業については、必ず着用すること。
4 喫煙は、所定の場所以外では行わないこと。
5 立入禁止又は通行禁止区域には立ち入らないこと。
6 常に整理整頓に努め、通路、避難口又は消火設備のある所に物品を置かないこ
と。
7 火災等非常災害の発生を発見したときは、直ちに臨機の措置をとり、    に
報告し、その指示に従うこと。

【第51条 遵守事項】
1 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」といいます。)は、労働災害を防止するために事業者が講じなければならない措置について具体的に規定しています。各事業場においては、安衛法等に基づき、労働災害の防止と快適な職場環境の形成に積極的に取り組むことが求められています。そのために、日ごろから職場の安全衛生管理体制を確立しておくことが大切です。
2 安衛法によって、一定の業種及び従業員数が一定規模以上の事業場においては総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者及び産業医の選任が義務付けられています(安衛法第10条等)。また、常時使用する従業員数が10人以上50人未満の事業場では、業種により安全衛生推進者又は衛生推進者を選任することが義務付けられています(安衛法第12条の2)。会社は、これらの者に、事業場の安全衛生に関する事項を管理させなければなりません。
 

 

法律どおりでいいじゃないかしら? 

 

同感。 

 

モデルの規定は、危険な機械等を扱っている会社の例のようですね。 もう少しカットできるでしょう。 

 

そうですな。 規定そのものは、もう少しスリム化できるでしょう。 
  よし。 規定は親父に任せた。 
 

(健康診断)
第52条 従業員に対しては、採用の際及び毎年1回(深夜労働に従事する者は6か月
ごとに1回)、定期に健康診断を行う。
2 前項の健康診断のほか、法令で定められた有害業務に従事する従業員に対しては、特別の項目についての健康診断を行う。
3 長時間の労働により疲労の蓄積が認められる従業員に対し、その者の申出により医師による面接指導を行う。
4 第1項及び第2項の健康診断並びに前項の面接指導の結果必要と認めるときは、一定期間の就業禁止、労働時間の短縮、配置転換その他健康保持上必要な措置を命ずることがある。

【第52条 健康診断】
1 事業者は、一般健康診断を1年に1回(深夜労働その他労働安全衛生規則(昭和47
年労働省令第32号)第13条第1項第2号で定める業務に従事する者は6か月ごとに1回)定期的に実施しなければなりません(安衛法第66条第1項)。また、事業者には、一般健康診断の結果は、各従業員に通知することが義務付けられています(安衛法第66条の6)。なお、健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施を課している以上、当然、事業者が負担しなければなりません。
2 粉じんや有機溶剤を取り扱う等有害な業務に従事する従業員には、一般健康診断のほかに特殊健康診断の実施が必要です(安衛法第66条第2項)。なお、特殊健康診断を行わなければならない有害業務については、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)等労働安全衛生関係規則で定められています。
3 従業員が採用前3か月以内に健康診断を実施し、その結果を証明する書類を提出した場合には、受診した項目について、採用時の健康診断を省略することができます。
4 定期健康診断は、常勤でフルタイムの従業員だけでなく、勤務時間の短いパートタイム従業員等であっても1年以上継続勤務しており1週間の所定労働時間が通常の従業員の所定労働時間数の4分の3以上の者にも実施しなければなりません。
5 事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が、1か月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる従業員について、その者の申出により医師による面接指導を行わなければなりません(安衛法第66条の8第1項)。また、時間外労働が一定時間を超えなくても、長時間の労働により、疲労の蓄積が認められ、又は健康上の不安を有している従業員に対しても同様に、その者の申出により面接指導又は面接指導に準ずる措置を講じるよう努めなければなりません(安衛法第66条の9)。なお、この面接指導の結果は、記録を作成し、5年間保存しなければならないとされています。
6 健康診断並びに面接指導の結果により作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません(安衛法第66条の5等)。 

 

健康診断は、本来自己責任の問題よ。 でも、確かに、会社の言うことを聞かず、健康診断を受けようとしないやつがいるから、即刻解雇しないと。 もし、病気になって死んだりなんかされたら、会社が責任を負わされる、なんてことにもなりかねない。 

 

それって、ボクのこと? ボクなら大丈夫。 身体鍛えてるから、病気になんかならないよ。 

 

会社の法令上の義務ですので。 タクヤも従えよ! こういう奴の親に限って、何かあると、会社が悪い、って騒ぐんですよ。 

 

まあ、冷静に。 もし、健康診断に従わないようであれば、誓約書等を取っておきましょう。
  よし。 タクヤ。 仮に何かあっても、会社のせいじゃあない、ってな誓約書を書いて提出するように。 
 

(健康管理上の個人情報の取扱い)
第53条 会社への提出書類及び身上その他の個人情報(家族状況も含む)並びに健康診断書その他の健康情報は、次の目的のために利用する。
1 会社の労務管理、賃金管理、健康管理
2 出向、転籍等のための人事管理
2 従業員の定期健康診断の結果、従業員から提出された診断書、産業医等からの意見書、過重労働対策による面接指導結果その他従業員の健康管理に関する情報は、従業員の健康管理のために利用するとともに、必要な場合には産業医等に診断、意見聴取のために提供するものとする。

【第53条 健康管理上の個人情報の取扱い】
1 個人情報保護法第18条において、「個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を本人に通知し、又は公表しなければならない」とされています。 

 

これも、個人情報保護の一環ね。 

 

実は、ボク、エイズなんです。 

 

おい、マジかよぉ〜 こっち寄るなよ。 

 

あっはっは…  
  笑い事じゃあない。 タクヤって、たまにホントのこと言うから…
まあ、規定としては、これでいいじゃろ。 
 

(安全衛生教育)
第54条 従業員に対し、雇入れの際及び配置換え等により作業内容を変更した場合、その従事する業務に必要な安全及び衛生に関する教育を行う。
2 従業員は、安全衛生教育を受けた事項を遵守しなければならない。

【第54条 安全衛生教育】
1 事業者は、従業員を雇い入れた時や作業内容を変更したときは、従業員に対し、従事する業務に必要な安全及び衛生に関する教育を行わなければなりません(安衛法第59条)。なお、安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間と解されますので、当該教育が法定労働時間外に行われた場合には、当然、割増賃金の支払が必要になります。 

 

これも、法令上の要請ね。 

 

まあ、いいんじゃない? 

 

タクヤ。 お前、やる気あんのかよっ! まあ、お前の場合、教育なんてうんざりだ、ってことだろうけど… 

 

カタキチ。 なんか、ずれてきたよ… 
  規定的には、これでいいじゃろ。 
 

(災害補償)
第55条 従業員が業務上の事由又は通勤により負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合は、労基法及び労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に定めるところにより災害補償を行う。

【第55条 災害補償】
1 労働者災害補償保険(以下「労災保険」といいます。)制度は、業務上の事由又は通勤による従業員の負傷、疾病、障害又は死亡等について必要な保険給付を行い、あわせて被災した従業員の社会復帰の促進及びその遺族の援護等を図ることを目的とした政府管掌の災害補償制度です。
  ただし、業務災害により休業する場合の最初の3日間は、労災保険からの休業補償給付が行われないので、事業主は、労基法に基づいて平均賃金の60%以上の休業補償を行う必要があります。
2 国の直営事業及び官公署の事業(労基法別表第1に掲げる事業を除きます。)を除き、従業員を使用するすべての会社は、労災保険に加入しなければなりません(ただし、従業員数5人未満の個人経営の農林水産の事業(業務災害の発生のおそれが多いものとして厚生労働大臣が定めるものを除きます。)については、任意適用となっています。)。
3 労災保険の適用事業場の従業員であれば、パートタイム従業員や臨時社員等、名称及び雇用形態にかかわらず、すべて労災保険が適用されます。

 

これも、法令上の規定ね。 

 

なんだか、飽きてきたね。 

 

最近、うつが問題になっています。 業務上の災害だ、として、うつになったと言う労働者からの労災申請も、ものすごく増えています。 これへの、未然トラブル防止策の構築が急務です。 

 

そうじゃな。 規定的には、これでいいじゃろが、 労災を取り巻く運用面での各種対策は必要じゃな。
  見えてる敵もあるが、まだ見えぬ敵もありそうじゃな。 常に、意識することにしよう。 
  第10章 職業訓練

職業訓練に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項に当たりますのでこれらの定めをする場合には、必ず就業規則に記載しなければなりません。

(教育訓練)
第56条 会社は、業務に必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、従業員に対し、必要な教育訓練を行う。
2 従業員は、会社から教育訓練を受講するよう指示された場合には、特段の事由がない限り教育訓練を受けなければならない。
3 前項の指示は、教育訓練開始日の少なくとも  週間前までに該当従業員に対し文書で通知する。

【第56条 教育訓練】
1 事業主が、従業員に対し教育訓練において性別を理由に差別的取扱いをすることは禁止されています(均等法第6条)。

 

なんだか、甘いわね。 業務に必要なことは、自分で勉強しなくちゃ。

 

男は、不言実行! 

 

それって、はたまた男女差別の問題発言。 取り消すように。
さて、確かにモモちゃんのご指摘の要素もありますが、喫緊の課題として、会社が教育しなければならない必要性も生じ得ます。 

 

そうじゃな。 この教育には、いわゆるON-JTのほかOFF−JTも含まれる。
トラブルとしては、所定労働時間中の実施の場合の賃金・費用負担の問題があるので、留意が必要じゃ。 このことは、先の健康診断の場合も同じじゃ。 
  規定としては、これでいいじゃろう。 賃金や費用負担の問題は、その都度、親父に相談することにしよう。 
 

第11章 表彰及び制裁

表彰及び制裁について、その種類及び程度に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項に当たりますので、これらについて定めをする場合には、必ず就業規則に記載しなければなりません。

(表彰)
第57条 会社は、従業員が次のいずれかに該当するときは、表彰することがある。
1 業務上有益な発明、考案を行い、会社の業績に貢献したとき。
2 永年にわたって誠実に勤務し、その成績が優秀で他の模範となるとき。
3 永年にわたり無事故で継続勤務したとき。
4 社会的功績があり、会社及び従業員の名誉となったとき。
5 前各号に準ずる善行又は功労のあったとき。
2 表彰は、原則として会社の創立記念日に行う。また、賞状のほか賞金を授与する。

【第57条 表彰】
1 表彰は、従業員の士気を高め、会社の業績や生産性の向上等を図ることを目的として設けられるものです。

 

第3号はいらないわね。 

 

同感。 

 

やる気にはつながりますね。 

 

小さな会社の場合は特に、誰か一人欠けただけで、業務運営に支障をきたすことがある。 なので、A⇒Bにスキル伝達したようなとき、A・B両者を表彰する等の制度を設けてもいいじゃろう。 
  よし。 3号はカットしよう。 親父のアドバイスは、わしもそう思う。 この部分の規定は、親父に任せよう。 
 

(懲戒の種類)
第58条 会社は、従業員が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の
 区分により懲戒を行う。
@けん責
   始末書を提出させて将来を戒める。
A減給
   始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。
B出勤停止
   始末書を提出させるほか、  日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。
C懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合において、所轄の労働基準監
督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支給しない。

【第58条 懲戒の種類】
1 懲戒処分の種類については、本条に掲げる処分の種類に限定されるものではありません。公序良俗に反しない範囲内で事業場ごと決めることも可能ですが、就業規則で、減給の制裁を定める場合において、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない(労基法第91条)こととされています。
2 従業員が、遅刻や早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないため、その分の減給は労基法第91条の制限は受けません。しかし、遅刻や早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、労基法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受けます。
3 従業員を懲戒解雇として平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支給せずに即時に解雇する場合、あらかじめ所轄の労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請し、その認定を受けることが必要です(労基法第20条)。労働基準監督署長の認定を受けずに即時に解雇する場合には、解雇予告手当を支給しなければなりません。

 

説明書きの1・2・3には気をつけないとね。 こんな制約があったんだ… なんだか、甘っちょろい感じがするけど。 

 

同感。 こんなの気にする必要ないよ。 

 

いや。 そうも行きません。 
ところで、『始末書』については問題があります。 通常、始末書は謝罪の文言を含みますが、憲法で保障されるところの、思想・良心の自由を侵害する危険性があります。 本人による真摯な表現であれば問題はありませんが、決して強制すべきではありません。 

 

そうじゃな。 もし、始末書を得られないようであれば、業務命令として顛末書を求める、ってな程度にしておいたほうがいいじゃろうな。 
  よし。 そうすることにしよう。 
 

(懲戒の事由)
第59条 従業員が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出
 勤停止とする。
 @ 正当な理由なく無断欠勤が   日以上に及ぶとき。
2 正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。
3 過失により会社に損害を与えたとき。
4 素行不良で社内の秩序及び風紀を乱したとき。
5 性的な言動により、他の従業員に不快な思いをさせ、又は職場の環境を悪くしたと
き。
6 性的な関心を示し、又は性的な行為をしかけることにより、他の従業員の業務に支
障を与えたとき。
7 第11条、第13条に違反したとき。
8 その他この規則に違反し又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき。
2 従業員が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第47条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。
1 重要な経歴を詐称して雇用されたとき。
2 正当な理由なく無断欠勤が  日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき。
3 正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、  回にわた
って注意を受けても改めなかったとき。
4 正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき。
5 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき。
6 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事
実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)。
7 素行不良で著しく社内の秩序又は風紀を乱したとき。
8 数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度等に関し、改善の見
込みがないとき。
9 職責を利用して交際を強要し、又は性的な関係を強要したとき。
10 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用したとき。
11 職務上の地位を利用して私利を図り、又は取引先等より不当な金品を受け、若し
くは求め若しくは供応を受けたとき。
12 私生活上の非違行為や会社に対する正当な理由のない誹謗中傷等であって、会社
の名誉信用を損ない、業務に重大な悪影響を及ぼす行為をしたとき。
13 正当な理由なく会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、又
は業務の正常な運営を阻害したとき。
14 その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき。

【第59条 懲戒の事由】
1 本条では、第1項にて「けん責、減給、出勤停止」とする場合の事由を、第2項にて「懲戒解雇」とする場合の事由を定めています。
2 懲戒処分については、最高裁判決(国鉄札幌運転区事件 最高裁第3小法廷判決昭和54年10月30日)において、使用者は規則や指示・命令に違反する労働者に対しては、「規則の定めるところ」により懲戒処分をなし得ると述べられています。したがって、就業規則に定めのない事由による懲戒処分は懲戒権の濫用と判断されることになります。
  また、懲戒の事由の内容について、労基法上の制限はありません。しかし、契約法第15条において「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為を性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」と定められており、懲戒事由に合理性がない場合、当該事由に基づいた懲戒処分は懲戒権の濫用と判断される場合があります。
3 懲戒処分の対象者に対しては、規律違反の程度に応じ、過去の同種事例における処分内容等を考慮して公正な処分を行う必要があります。裁判においては、使用者の行った懲戒処分が公正とは認められない場合には、当該懲戒処分について懲戒権の濫用として無効であると判断したものもあります。
  また、就業規則に懲戒規定を設ける以前にした従業員の行為に対して、さかのぼって懲戒処分をすることや、1回の懲戒事由に該当する行為に対し複数回の懲戒処分を行うことはできません。

 

懲戒事由については、みんなの意見を聞くべきだと思います。 

 

同感。 

 

お前は、いつも『同感』だな。 同感って言うより、もう鈍感。
懲戒は、罪に対する罰なので、そのバランスを取ることが重要です。 

 

そうじゃな。 それと、規定例の『その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき。』というのが気になる。 罪刑法定主義の観点から、このような抽象的表現は、裁判現場では無効となりやすい。 より具体的に規定することが必要じゃ。 判例は、例示列挙説は採用せず、限定列挙説によっているからのぉ。
  よし。 罪と罰のバランスを考えて、みんな案を提示するように。 
 

附 則 
(施行期日)
第1条 この規則は、平成   年   月   日から施行する。

 

あれ? もう終わり? 

 

あっけなかったね。 

 

なんか、大分足らなかった気がしますが… 確かに、絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項は、すべて網羅しているみたいです。 チェックリストは、すべてチェックが入りました。
あっ、育児介護休業等の規定が、甘かったですね。 ほかにも何か… 

 

そうじゃな。 概ね草案的には出来上がったようじゃな。
パートの逐条検討は、まだじゃったな。
肝心の労働時間・休憩時間・休日と賃金等に関しても、まだまだ詰めが足りん。
  よし。 親父のアドバイスを参考に、お前たち3人でたたき台を作っておくれ。 わしと親父の宿題は、わしたちに任せてくれ。 

大変お疲れ様でした。

そういうわけで、就業規則の概略は、概ね出来上がりました。
あとは、詰めの段階に入りますが、実はこの後も大変です。

完成後も、解釈・適用等の運用場面では、相当程度苦労します。

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